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2019年度 医学研セミナー

Knowing the biochemical microbrain for memory

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演者 平野 恭敬 (京都大学白眉センター(医学研究科) 特定准教授)
会場 東京都医学総合研究所 2BC会議室
日時 2020年2月19日(水)16:00 ~
世話人 齊藤 実 (副所長)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

我々は過去の経験を記憶情報として脳内に蓄積することで、複雑な社会で生きることを可能にしている。幸か不幸か、我々の脳は見たこと聞いたことをすべて記憶することをせず、確からしく、かつ重要な情報のみを記憶する。この性質のために過度の勉強を強いられるわけだが、一体どのようにして脳は確からしい重要な情報を抽出し、その情報だけを選択的に記憶として定着させるのだろうか?複雑な脳情報処理によって特異的に惹起される記憶の生化学的反応が存在することが予想されるものの、脳情報処理と生化学的反応をつなぐ仕組みについてはほとんど知られていない。我々は複雑な情報処理を行うには十分であるが、比較的単純なショウジョウバエの微小脳を扱うことにより、脳情報処理から記憶の固定化に必須な遺伝子発現制御につながる根本原理をとらえることを目指してきた。その過程で、遺伝子発現を誘導するための脳情報処理を実行する、特殊な神経回路網を報告し(Awata, et al, 2019)1、記憶中枢神経の核を単離する新規手法を開発することで、遺伝子発現に重要なクロマチン制御を明らかにしてきた(Hirano, et al., 2016)2。さらには遺伝子発現の時間枠を定義する、記憶中枢神経で機能する分子時計を明らかにしつつある。本セミナーではこれらを紹介するとともに、生化学的な微小脳の動作原理に迫るさらなる試みを紹介したい。内のDNA複製を人為的に停止させた際に誘導される、バックアップゲノム維持メカニズムと細胞がん化の関連を議論したい。

  1. Awata H, Takakura M, Kimura Y, Iwata I, Masuda T, Hirano Y
    “The Neural Circuit Linking Mushroom Body Parallel Circuits Induces Memory Consolidation in Drosophila”
    PNAS, 116, 16080-16085, 2019.
  2. Hirano Y, Ihara K, Masuda T, Yamamoto T, Iwata I, Takahashi A, Awata H, Nakamura N, Takakura M, Suzuki Y, Horiuchi J, Okuno H, Saitoe M.
    “Shifting transcriptional machinery is required for long-term memory maintenance and modification in Drosophila mushroom bodies.”
    Nature Communications, 7:13471, 2016.
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