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2019年度 医学研セミナー

Synaptic plasticity: from bench to bedside

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 高橋 琢哉
横浜市立大学(教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 2019年5月21日(火) 16:00〜
世話人 西村 幸男 脳機能再建プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

グルタミン酸シナプスは脳内での情報処理において非常に重要な役割を果たしている。脳に可塑的な変化がおこる際、グルタミン酸受容体であるAMPA受容体がシナプスへ移行することは当研究室の研究も含めた多くの研究が明らかにしている。

さらに、当教室ではAMPA受容体シナプス移行を促進する化合物を特定しており、脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬としての可能性を模索している。現在げっ歯類においては劇的な効果が証明されており、霊長類においても同様の効果が見られている。今年度に臨床治験の開始を予定している。「リハビリテーション効果促進薬」という概念の薬剤は存在せず、実現すれば本邦に約130万人の罹患者がいる本疾患の治療に非常に大きな前進がもたらされ、罹患者の苦痛の軽減、社会復帰の増加、介護負担の軽減等、甚大な社会波及効果が期待できる。基礎研究から積み上げていかにして本薬剤の開発につながっていったのかということについて当教室の最新の未発表データを紹介する。

現在の精神神経疾患の診断治療は基礎研究の根拠に乏しい。本講演ではAMPA受容体を認識するPET Probeの開発について当教室の最新の知見を紹介する。AMPA受容体をヒトで可視化するPET Probeは未だ存在しない。この技術を用いて、「シナプス機能分子による精神神経疾患の再分類」が可能になり、今後の「基礎研究の根拠」に基づいた新規診断が可能になる。またリハビリテーション効果の画像による客観的な評価は現在確立はしていない。本PET probeにより脳損傷後の機能回復代償野を可視化することにより、リハビリテーションの最適化が可能になると期待される。

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