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2019年度 医学研セミナー

ウイルス誘導性の異なる神経疾患モデルにおける自然・獲得免疫反応の役割

− この都医学研セミナーは終了しました。 −

演者 角田 郁生
近畿大学医学部 微生物学講座(主任教授)
会場 東京都医学総合研究所 2BC会議室
日時 2019年12月11日(水) 13:30 〜
世話人 佐久間 啓
こどもの脳プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

ウイルス感染は中枢神経系(CNS)の急性・慢性神経疾患と関連付けられている。神経向性ウイルスによるCNSの障害要因には、ウイルス増殖によるものと、抗ウイルス免疫反応によるものの二つがある。CNS疾患によっては感受性を決めるもう一つの要因として宿主の遺伝背景がある。タイラー脳脊髄炎ウイルスTheiler’s murine encephalomyelitis virus (TMEV) はRNAウイルスでマウスに三つの異なる神経病モデルを誘導することができ上記の3要因の関連研究に有用である。1) 最も頻用されているのがSJLマウスを感受性系統とする多発性硬化症(MS)モデルで、TMEVの脊髄への持続感染とT細胞・抗体をエフェクターとする抗ウイルス獲得免疫反応が白質の慢性炎症性病変に寄与している。MSウイルスモデルでは軸索障害が著名で、これが脱髄に先行することからInside-Out modelと言われ、MS自己免疫モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のCNS障害が神経外側の髄鞘から内側の軸索に進展するOutside-In modelと異なる。2) TMEVは自然免疫のみが誘導される感染早期(3-6日)にはC57BL/6マウスの海馬に感染し痙攣・てんかんを誘導するが、SJLマウスには痙攣はみられない。3) TMEVは感染後約1週間でCNS灰白質に感染し、神経細胞でのウイルス増殖によりポリオ・急性弛緩性脊髄炎(AFM)様の炎症をすべてのマウス系統に誘導するが、獲得免疫はウイルス排除の善玉として働く。

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