開催報告

第45回 サイエンスカフェ in 上北沢(2024年3月20日 開催)
電気で動く身体を見てみよう!


脳機能再建プロジェクトリーダー 西村 幸男

今回のサイエンスカフェでは、私たち人間の体から発生している電気がどれくらいなのか確認してもらうとともに、私たちの体が電気で動いていることを実感してもらうために、何ボルトで身体が動くのか調べていただくことを目的に開催しました。小学生の低学年から高学年まで24名が参加しました。

私たちの身近にあるもので電気を発生するものと言えば乾電池が挙げられますが、この電気の強さは 1.5ボルトです。乾電池の+極と-極を手で挟むと、体の中に 1.5ボルトの電気が流れますが、実際には感じることはありません。

また、アマゾン川に住んでいる電気ウナギは300ボルトから800ボルト、つまり、乾電池200本分から533本分の電気に相当しますが、これを発生して獲物を痺れさせることで捕まえます。

さらに、電気ウナギと家庭用の電源を比較すると、家庭用電源は100ボルトのため、電気ウナギの方が高いことをお話ししました。

それでは問題です。

問題1
私たち人間の体から発生している電気の強さは、乾電池で何本分でしょうか?
問題2
私たち人間の体は、乾電池何本分で動くでしょうか?

問題の答えを導き出すために、参加者には二つの実験を体験していただきました。

問題1 に答えるために、電圧を測ることができるオシロスコープを使って、腕の筋肉は何ボルトを出しているかを計測する筋肉電圧計測実験を行いました。得られた計測結果から、筋肉は乾電池何本分の電気を出しているかを計算して求めてもらいました。参加者のみなさんの回答は乾電池1本分に満たない、0.01本から 0.02本程度というものでした。

問題2 に答えるために、電気を発生する市販の低周波治療器を使って腕の筋肉に電気刺激をして、何ボルトの電気が流れると筋肉が動くのか測定する筋肉電気刺激実験を行いました。低周波治療器の電圧を上げていくと、はじめピリピリと感じ始め、更に電圧を上げるとビリビリと強く感じ始め筋肉がビクビク、手の指がギューと曲がりました。筋肉が動き始めた時の電圧を計測し、乾電池が何本あったら筋肉を動かせるかを計算して求めてもらいました。その結果、乾電池 5本から 8本分で刺激すると筋肉が動くという答えでした。研究所の研究員がサポートしながらではありましたが、参加者の皆さんそれぞれが、実験装置を操作し、電圧の測定、電気刺激を実体験しました。また、高学年の参加者が、低学年の参加者の計算を助けてあげたりして、問題を解く手助けをしてあげていました。

今回の実験で、私達人間の身体から電気が出ていることと、電気で身体が動いていることを実体験として学びました。ヒトの身体からは電気が出ているけれど、乾電池 1本分に満たない電圧しか出していないので、お友達やお母さん、お父さんと手を繋いでもビリビリしません。安心して、手を繋いで仲良くできますね。

会場の様子(中央:西村幸男プロジェクトリーダー)
会場の様子(中央:西村幸男プロジェクトリーダー)