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演者 | 礪波 一夫 東京大学 大学院医学系研究科 代謝生理化学分野 助教 |
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会場 | ハイブリッド (講堂+Zoom) |
日時 | 2023年2月24日(金曜日)16:00~ |
世話人 | 小野 弥子 カルパインプロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
血管は特徴的な枝状管腔構造をとるが、その形成メカニズムについては不明な点が多く残されている。これを明らかにする目的で、本研究では既存の血管から内皮細胞が発芽・伸長することにより新しい血管が増生される血管新生に着目し、内皮細胞の運動特性から血管新生のメカニズム解明に取り組んできた。血管新生では、内皮細胞同士が追い越しやすれ違いにより、互いの位置関係を複雑に入れ替えながら血管を伸長する様子が明らかになっている。
本研究では、細胞外基質(ECM)中で発芽・伸長現象を示すマウス膵ランゲルハンス島微小血管由来内皮細胞株MS-1細胞の1~2細胞レベルでの細胞運動の解析から、血管新生のモジュールとなる内皮細胞固有の運動特性として、細胞接触により亢進する直線的運動と回転運動を同定した。さらに、これら内皮細胞の直線的運動と回転運動は内皮細胞特異的カドヘリン分子であるVE-カドヘリンによって細胞運動の位相の調節を介して制御されていること、またVE-カドヘリンの発現量に依存したこれら運動パターンの領域化が血管伸長に寄与することを明らかとした。
本発表では、同定した内皮細胞固有の運動パターンが血管形成においてどの様な役割を果たすかについての数理モデルシミュレーションを用いた検証結果やこれら内皮細胞にユニークな細胞動態を制御する分子機構についても最新の研究結果を加えてお話させて頂きたい。