- この都医学研セミナーは終了しました。-
演者 | 平安 恒幸 金沢大学 先進予防医学研究センター 准教授 |
---|---|
会場 | オンライン(Zoom) |
日時 | 2022年10月20日(木曜日)14:00~ |
世話人 | 宮川 卓 睡眠プロジェクト 副参事研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
免疫系は、病原体による選択圧を受けた結果、種間および種内で高度に遺伝的多様性を示す。霊長類に特有な免疫系遺伝子として白血球レセプター複合体 (Leukocyte Receptor Complex)と呼ばれる免疫レセプター群が存在する。白血球レセプター複合体には、Leukocyte Immunoglobulin-Like Receptor (LILR) ファミリーやKiller Immunoglobulin-like Receptor (KIR)ファミリーなどの多重遺伝子ファミリーが多数コードされている。これら遺伝子群は、霊長類で近縁なヒトとチンパンジーで大きく異なるだけでなく、ヒト集団内においてもコピー数多型や機能的SNPsなどの遺伝的多様性を示し、大きな個体差を生み出してい る。白血球レセプター複合体の一部は免疫細胞だけでなく神経細胞にも発現しており、免疫系以外の機能を有する可能性も考えられる。しかしながら、白血球レセプター複合体の生理的な機能については十分理解されていない。我々の最近の研究から、ある種の病原体や腫瘍細胞は、白血球レセプター複合体の抑制化レセプターを利用して、宿主の免疫から逃れることが明らかとなってきた。一方で、白血球レセプター複合体の活性化レセプターは、病原体を感知する役割を担っていることもわかってきた。我々のデータは、種の存続には進化し続けなければならないという「赤の女王仮説」に合致する。本講演では、白血球レセプター複合体を紹介し、異分野交流の活性化につなげたい。