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演者 | 曽良 一郎 神戸大学 大学院医学研究科 デジタル精神医学部門 教授 |
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会場 | オンライン(Zoom) |
日時 | 2022年6月28日(火曜日)16:00 |
世話人 | 池田 和隆 精神行動医学研究分野長 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
「依存症」は、薬物(物質)依存と行動(非物質)嗜癖に大別され、行動の中で最も依存しやすいのがギャンブルやインターネット・ゲーム使用である。オンラインゲームやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が社会生活の一部になりインターネット・ゲーム障害(Internet Gaming Disorder, IGD)という精神疾患が形成されるようになった。
インターネット・ゲーム障害を含む行動嗜癖の病態機序は、薬物(物質)依存と同様に脳内報酬回路が変化していると考えられる。行動嗜癖の疾患概念、診断基準、治療プロトコールも薬物依存に準じて検証されてきた。しかし、摂取された依存性薬物は中枢神経の標的分子に直接に作用して依存を形成するのに対して行動嗜癖を形成するゲーム使用などの情報刺激は薬物とは異なり間接的に中枢神経に作用する。
薬物依存では薬物を実験動物に投与し、脳内の神経伝達物質を測定するなど病態仮説を掘り下げる様々な研究計画を実施できるが、インターネット・ゲーム障害を含む行動嗜癖では非侵襲的手段に限られている。そのような制限の中で、例えばドーパミン神経伝達の変化など行動嗜癖が薬物依存との共通する病態機序が推測されている。