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演者 | 万代 道子 神戸市立神戸アイセンター病院 研究センター長 |
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会場 | オンライン(Zoom) |
日時 | 2022年6月29日(水曜日)15:00~ |
世話人 | 原田 高幸 病院等連携支援センター長 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
我々はiPS細胞を用いた網膜の再生医療の治療開発に取り組んでいる。網膜色素上皮細胞についてはこれまでに加齢黄斑変性を対象として、自家iPS細胞由来網膜色素上皮細胞シート、日本人最頻度HLAのiPS細胞ホモ株を用いた他家網膜色素上皮細胞移植の臨床研究を展開し、iPS細胞由来網膜色素上皮細胞移植治療の実施体制を整えると共に、安全性を確認してきた。今後は有効性の検証として、対象疾患を網膜色素上皮細胞の機能不全症へと拡大し、材型も紐状凝集塊としたもので臨床研究を開始した。また、視細胞の変性疾患である網膜変性の末期患者に対しては、網膜オルガノイドを用いた網膜組織移植治療にとり組んでいる。これまでに動物実験モデルを用いて、これらのES/iPS細胞由来網膜組織は移植後に視細胞の層構造を形成しつつ成熟し、これらの移植視細胞はホストの双極細胞とシナプスを形成すること、また行動検査においても術後の光認知機能が向上することを検証した。この結果に基づき、2020年に末期網膜色素変性患者を対象としてiPS細胞由来網膜シート移植の臨床研究を開始、予定通り2例の患者さんに移植を実施した。1年以上経過したが、進行した変性網膜下でも移植片は安定して生着し、特に有害事象は見られない。有効性についても解析を進めており、今後報告していく。また、まだ今回は移植した範囲も限定的であったが、今後より有効性を高めるために、遺伝子改変を加えた網膜組織、また広範囲への移植を目標に次のステップの臨床研究準備を進めている。