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『老化と健康』
食、運動、眠り、脳トレ、メンタルケア・・・ 私たちは今何をしたら良いのか?

「スマート・エイジング」

演者 川島 隆太
東北大学 加齢医学研究所 所長
開催方式 オンライン(Zoom)
日時 2022年12月9日(金曜日)14:00〜
※講演は1時間程度を予定しています。
世話人 正井久雄
所長
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
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お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

我が国の65歳以上の高齢者が全人口に占める割合(高齢化率)は、2020年に約29%に達し、世界で類を見ない超高齢社会となっている。2050年代には高齢化率は40%を超えると予測されており、超高齢社会に対する具体的な対応策の策定が急務であると考えられる。他の先進諸国でも、今後高齢者の更なる増加により認知症を代表とする加齢関連疾患による経済的損失の増大が危惧されている。さらに、開発途上国においても若年人口が減少しており、高齢社会の到来を近い将来に控えている。したがって、加齢関連疾患対策は世界的な重要課題であり、特にその予防は喫緊の課題といえる。

超高齢社会においても個人や社会が活力を維持するためには、「一人ひとりが、時間の経過とともに、高齢期になっても健康で人間として成長し続け、より賢くなれること、社会全体としてはより賢明で持続可能な構造に進化すること」(スマート・エイジング)が求められ、その実現に向けた研究推進が必要である。そこで、東北大学では、スマート・エイジング学際重点研究センターを平成29年4月に設立、分子生物学から人文社会学まで、幅広い学問を結集して、認知症の予防を目指している。

スマート・エイジングを具現化するためには、これまでの医学的知識を総合すると、

  • 1)脳を積極的に使う
  • 2)身体を積極的に動かす
  • 3)バランスのとれた栄養を摂る
  • 4)社会や他者と積極的に関わる(コミュニケーション)
  • 5)質のよい睡眠をとる

この5つの原則が肝心であると考えられる。

そこで我々は、認知神経科学の観点から、大脳の前頭前野と呼ばれる特別な領域の機能に注目し、認知機能全般を維持・向上し、精神的な健康感を向上するための手法の開発研究をエビデンスレベルの高いランダム化比較対照試験によって行ってきた。心理学的研究成果をレビューすると、前頭前野が司る認知機能の低下は、20歳代30歳代からすでに始まっていることがわかる。この前頭前野が司る認知機能の低下に対し、認知トレーニングと呼ばれる方法が有効であることが最近明らかになっている。我々は、大学生を対象としたワーキングメモリートレーニングによって、さまざまな前頭前野の認知能力が向上し、かつ、前頭前野の広範な領域の皮質体積が増えるという可塑的変化が生じることを、MRIを用いて証明した。この大脳皮質体積増加という可塑的変化は、動物実験でも再現でき、神経線維長の延伸、枝分かれの増加など、神経ネットワークがより複雑化した結果生じたものであることがわかっている。

我々は、ワーキングメモリートレーニングを応用した認知症高齢者に対する生活介入実験も行い、日米で認知症高齢者の認知機能と生活の質の向上に成功している。同様に健康な社会生活を行っている高齢者に行った研究でも、高齢者の全般的な認知機能や生活の質の向上に成功した。認知トレーニングによって、高齢期においても認知機能を維持向上させ、安寧な生活を送り続けることが可能となると確信している。