| 演者 | 星名 直祐 早稲田大学 高等研究所 講師 |
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| 会場 | 対面式(講堂) |
| 日時 | 2026年7月13日(月曜日)16:00~17:00 |
| 世話人 | 宮岡 佑一郎 再生医療プロジェクト |
| 参加方法 | 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください |
| お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
脳は、多数のニューロンがシナプスを介して接続することで、複雑な神経回路網を構築している。特定の神経回路が特定の脳機能を担い、その破綻が精神・神経疾患の発症につながることから、神経接続の全容解明は重要な課題である。しかし、多種多様なニューロンの中から「どのニューロンがどの相手と接続するか」を決定する配線原理は、未だ十分に理解されていない。我々は、この厳密な神経接続を規定する実体を「分子コード」と捉え、それらを軸として脳神経ネットワークの基本構造と動作原理の解明に挑んでいる。本講演では、この分子コードの代表例として、大脳基底核神経回路におけるδ2-プロトカドヘリン分子群の知見を中心に概説する。
実行機能、情動制御、感覚運動等の脳機能は、大脳基底核において解剖学的・機能的に分離された「並列神経回路」が個別に分担すると考えられている。しかし、これら並列回路を構築するニューロン群を分子レベルで区別することは困難であり、回路特異的な接続様式と、それらが司る行動制御機構との関連は不明瞭なままであった。我々は、大脳基底核回路に領域特異的に発現するδ2-プロトカドヘリン分子群PCDH10、PCDH17、PCDH19を同定し、分子生物学、神経解剖学、神経生理学、行動学的な解析を駆使することで、これらが並列回路の構造的・機能的アイデンティティを規定する「分子コード」として機能していることを突き止めた。
こうした大脳基底核で見出された配線原理は、他の脳領域にも共通する普遍的なメカニズムである可能性が高い。本講演では、個別の回路解析から得られた知見を、脳全体の「分子配線図」の構築という広い視点へと拡張する。さらに、これら分子コードの破綻が精神・神経疾患の病態にいかに直結するのかについても議論したい。