| 演者 | 後藤 信一 東海大学医学部・総合診療学系・総合内科学 准教授 |
|---|---|
| 会場 | 対面式(2BC会議室) |
| 日時 | 2026年8月13日(木曜日)15:00~16:00 |
| 世話人 | 齊藤 実 高次脳機能プロジェクト |
| 参加方法 | 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください |
| お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
近年の人工知能(AI)の発展はめざましく、私たちの生活のあらゆる場面に深く浸透している。スマートフォンの顔認証、インターネット検索、音声アシスタント、自動運転の支援機能、SNSや動画配信サービスの推薦システムなど、日常のインフラとなっている。現在広く普及しているAIを支える中核的技術の一つが、ニューラルネットワークである。これは人間の脳神経回路を簡略化してモデル化した計算アーキテクチャであり、入力されたデータを層状のネットワークで段階的に変換することで、分類や予測、生成などのタスクを実行する。歴史的には、他の機械学習手法と比較して必ずしも優位性が認められず、過学習や計算コストの問題から、一時は主流から外れるかのように見えた時期もあった。しかし、GPUによる並列計算の飛躍的向上、そして学習アルゴリズムの革新といった複数のブレークスルーが相まって、ニューラルネットワークは大きく進化した。特に転機となったのは、2012年の画像認識コンペティション「ImageNet」におけるAlexNetの勝利である。深い畳み込み層とGPUを活用した大規模な学習により、従来手法を大きく上回る認識精度を達成し、深層学習(ディープラーニング)の時代の幕を開けた。一方、自然言語処理の分野では、2017年に提案されたTransformerアーキテクチャが大きな転換点となった。自己注意機構に基づくこのモデルは、文章全体の文脈を効率的に捉えることができ、近年の大規模言語モデル(LLM)の台頭を直接支えている。こうした技術的進歩により、ニューラルネットワークは画像認識、自然言語処理、音声合成、タンパク質構造予測など、多くのタスクにおいて人間を大きく上回る精度を達成するようになった。これにより研究分野だけでなく産業や社会全体の注目を集め、現代のAI技術の急速な普及を支える基盤となった。
本講演では、ニューラルネットワークがどのようにしてデータからパターンを学び、複雑なタスクを実行できるようになるのか、その基本原理を直感的に説明する。具体的には、ニューロンによる情報処理、活性化関数や重みの役割、誤差逆伝播法による学習の仕組みについて解説する。加えて、上記のようなニューラルネットワークの実用化を可能にした重要な技術的ブレークスルーについても整理し、それぞれがどのような問題を解決し、なぜ大きな影響を与えたのかを論じる。
さらに、今後期待される応用の広がりや、AIを医学・生物学研究に適切に活用していくための展望を論じる。