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RNA修飾による高次生命機能制御の原理と疾患

演者 魏 范研
東北大学 加齢医学研究所 モドミクス医学分野
教授
会場 対面式(講堂)
日時 2025年12月22日(月曜日)15:00~16:00
世話人 山野 晃史
品質管理プロジェクト
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

生命機能は、遺伝子発現の精緻な制御によって支えられている。セントラルドグマにおいて中核的役割を担うRNA は、近年その多様な化学修飾の存在が明らかになり、エピトランスクリプトームと総称される新たな研究領域を形成している。RNA修飾は、RNAの安定性や細胞内局在、翻訳効率を調節し、転写後遺伝子発現制御に不可欠である。しかし、エピトランスクリプトームが高次生命機能をどのように制御しているか、その分子機構の多くは未解明である。我々はこれまで、翻訳を担う小分子RNAであるtRNAに付与される修飾による代謝および神経機能の制御機構に着目し、研究を進めてきた。とくに近年では、質量分析やtRNA-seqといったマルチオミクス技術を統合し、個体レベルの生理学的解析と組み合わせることで、RNA 修飾がエネルギー代謝や学習・記憶といった高次生命機能制御とその破綻による疾患発症の分子機構を明らかにしつつある。さらに最近では、RNAが代謝された結果で生じる修飾ヌクレオシドが細胞外に排出され、情報伝達を担う生理活性因子であることを見出した。本講演では細胞内外のRNA修飾が担う生命機能に関する最新の知見を紹介し、RNA 修飾研究の新たな展開について議論したい。

  • Ogawa et al. Cell. 2025 Aug 13:S0092-8674(25)00863-3.
  • Ogawa et al. Mol Cell. 2021;81(4):659-674.e7.
  • Nagayoshi et al. Sci Adv. 2021;7(13):eabf3072.