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がん化学療法の unmet medical needs 克服に向けた DNA 損傷応答研究

演者 村井 純子
愛媛大学 先端研究院 プロテオサイエンスセンター
教授
会場 ハイブリッド(講堂+Zoom)
日時 2026年1月13日(火曜日)16:00~17:00
世話人 笹沼 博之
ゲノム動態プロジェクト
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

プラチナ製剤を代表とする DNA 障害型抗がん剤は、半世紀に渡りがん治療の最前線で使用されて続けている一方で、i)実臨床における効果予測バイオマーカーの確立 ii)治療抵抗性または抵抗性獲得の打破 iii)汎血球減少、脱毛などの副作用の克服が、unmet medical needs として残っています。私は、15年来DNA損傷応答を研究する中で、これらのニーズを解決できる可能性を持つSLFN11Schlafen 11)遺伝子に出会いました。SLFN11は、大規模がん細胞データベース解析から、DNA障害型抗がん剤の感受性と mRNA の発現量が最も高く正に相関すると、2012 年に報告された遺伝子です 1,2。その後、両者の因果関係は様々な実験系で証明されています。臨床検体を用いた解析3でも卵巣がん、胃がん、膀胱がん他において、SLFN11 を高発現する方が、プラチナを含む化学療法を施行された際に、臨床成績が良いことが示されています。セミナーでは SLFN11 の作用機序 4,5,6,7や、SLFN11 の臨床上の有用性について紹介します。

  • 1) J. Barretina et al., Nature 483, 603-7 (2012).
  • 2) G. Zoppoli et al., Proc Natl Acad Sci U S A 109, 15030-15035 (2012).
  • 3) T. Takashima et al., Virchows Arch 478, 569-579 (2021).
  • 4) J. Murai et al., Mol Cell 69, 371-384 e376 (2018).
  • 5) M. Li et al., Nat Struct Mol Biol 25, 1047-1058 (2018).
  • 6) N. Boon et al., Science 384, 785-792 (2024).
  • 7) A. Ogawa et al., Mol Cell 85, 894-912 (2025).