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手足口病

手足口病について

手足口病とは?

手足口病は文字通り手足口に水疱性発疹ができる病気です(図1)。5歳以下の乳幼児に多く見られ、夏季に流行のピークがあります(図2)。

口の中や喉に痛みを感じるため食事や水分がとりにくくなります。一般的に予後はよく、安静にしていれば1週間程度で自然に治癒する場合がほとんどです。ウイルスは発疹に存在している他、感染者の口腔内分泌物、糞便などに含まれています。接触感染、飛沫感染、糞口感染によってウイルスを口の中の粘膜などから摂取してしまうことによりヒトからヒトへと感染します。

免疫を持っていないために感染し易い状態になっている子供たちが多数集まり、密な接触をする可能性の高い保育園や幼稚園では流行時には特に注意が必要です。

図1. 手足口病における水疱性発疹

手足口病における水疱性発疹

出典:国立感染症研究所HP
(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-hfmd.html)

図2. 手足口病の流行時期

手足口病の流行時期

定点医療機関当たり患者報告数
出典:東京都健康安全研究センター東京都感染症情報センターHP
(http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/handfootmouth/handfootmouth/)


手足口病の原因ウイルス

手足口病を起こすウイルスは複数ありますが、エンテロウイルス属と呼ばれているウイルスの仲間が原因となっている場合が多いです。一番多いのはコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71、コクサッキーウイルスA6, A10などで、これらの合計で全体の8割を占めるとされています(図3)。

ウイルスに一度感染すると抗体ができて再度感染しないのが一般的ですが、手足口病は似て非なる複数のウイルスにより発症することから、何度も手足口病になることもあります。注意しなければならないことは手足口病も稀に重症化する場合があることです。手足口病に対し過剰に警戒する必要はありませんが、手足口病になった患者に頭痛や嘔吐などの中枢神経症状がないかどうか観察することが重要です。そのような症状がみられたらすぐに医療機関を受診してください。

特にエンテロウイルス71は重症化する確率が他のウイルスよりも高いとされており、警戒が必要です。1990年代後半から主にアジア諸国でエンテロウイルス71の大流行があり、台湾、マレーシア、中国本土、カンボジアなどで多くの死亡例も報告されています。

図3. 手足口病を起こすウイルス

手足口病を起こすウイルス

国立感染症研究所 病原微生物検出情報(年別)をもとに作成したグラフ

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