HOME刊行物 > Jan 2020 No.036

開催報告

都医学研夏のセミナー「基礎・技術コース」(2019年8月26日~30日実施)
脳機能解析のためのウイルスベクターによる遺伝子導入

神経細胞分化プロジェクトリーダー 岡戸 晴生

脳機能の解析に、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入法が有効です。例えば、ある部位のニューロンにウイルスベクターを用いて光刺激でイオンを通すようなチャネルが開く蛋白(チャネルロドプシン)を発現させることができれば、そこに光を当てて、そのニューロンのみを人為的に興奮させることができます。従来の電気刺激の方法では、周辺のニューロンまで興奮させてしまうので、特定のニューロンに人為的な興奮を誘発できることは、脳機能解明に重要な方法となっています。さらに、最近は、アデノ随伴ウイルスの改良が著しく、静脈投与で脳の細胞に外来遺伝子を導入できるようになってきています。従って、ある蛋白を脳全体に補充する、ある蛋白を脳全体で減少させることが可能となります。

そこで、当研究室で長年行っている、アデノ随伴ウイルスの作製法を実習し、ウイルスをマウスの静脈に投与しました。また、光刺激ファイバーの作製、ファイバー埋め込み手術を行い、実際に光刺激で行動に変化が見られるか、を試みました。

参加したのは、神経内科医師、大学院生、医学生の3名で、極めて熱心に取り組んでいただき、大変やりがいのあるセミナーでした。こちらは、平井研究員、三輪秀樹協力研究員、新保裕子協力研究員、岡戸が担当しました。また、参加者それぞれの興味や、取り組んでいる研究の話など、有意義な交流ができたと思います。

ページの先頭へ