依存性物質プロジェクト 主任研究員古田島 浩子
2024 年9月6日、第4回都民講座「神経発達症 マウスが教えてくれること」が開催されました。講師は医療法人社団だいだいタムスわんぱくクリニック小岩の佐藤敦志先生で、医師と研究者の双方の立場から講演を行っていただきました。神経発達症は DSM-5 に記載されている疾患で、注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)(以下、自閉症)を含みます。患者数の増加に伴い、ADHD や ASD に対する医療関係者や保護者、教育現場からの関心も高まっています。講演では、神経発達症の基礎的な概念から、動物モデルを用いた研究に至るまで詳しく解説していただきました。特に、自閉症を併発しやすい結節性硬化症(TSC)のモデルマウスを使った研究では、mTOR シグナル系をラパマイシンで抑制すると社会性行動障害が改善するという興味深い成果が紹介されました(Sato et al., 2012, 図1)。このような動物モデルの活用は、疾患の原因解明や治療法開発に大きく貢献しています。本講演は、国際的な課題でもある神経発達症について理解を深める貴重な機会となり、会場やオンラインから積極的に質問が寄せられました。平日の午後にも関わらず参加していただいた皆様や、ご講演いただいた佐藤先生に深く感謝申し上げます。都民講座は、今後も疾患について学ぶ機会を提供するために、講師と協力しながら開催を続けていく予定です。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。