開催報告

2024年度 第6回 都医学研都民講座(2024年11月21日 開催)
楽しい世界を一生見続けるために


視覚病態プロジェクトリーダー原田 高幸

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原田プロジェクトリーダー

「楽しい世界を一生見続けるために」と題して、第6回都民講座を開催しました。前半は徳島大学眼科教授の三田村佳典先生を講師にお迎えして「糖尿病黄斑浮腫の検査・治療の進歩」についてお話頂きました。糖尿病網膜症は我が国における失明原因の第3位であり、内科と眼科の両方の受診が必要です。治療法として網膜光凝固に加えて、抗VEGF 療法という眼球内注射、そして硝子体手術についても教えて頂きました。検査法も治療も大きく進歩しており、以前のように失明する病気ではないことがよくわかるお話でした。

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三田村佳典先生

後半は私の方から「医学研で行われている緑内障の基礎研究」について、お話させて頂きました。緑内障は失明原因の第1位で、眼圧(眼球の硬さ)を点眼薬や手術で低下させることが唯一の治療法とされていますが、それだけでは視野欠損が進行するケースも多く見られます。そこで医学研では網膜の神経細胞を保護する新しい薬の開発や、傷んだ視神経を再生させる治療法を研究しています。こうした研究はもちろん人では行えませんので、緑内障のモデル動物を活用して効果を検討しています。特に神経栄養因子受容体の遺伝子治療ベクターを用いる方法では、マウスの緑内障の進行が抑制され、視神経外傷モデルでは視神経の再生が観察されました。こうした研究の成果は医学研のホームページにも掲載されています。ご参加された皆様から多くのご質問もいただき、深く感謝申し上げます。