睡眠プロジェクト 副参事研究員宮川 卓
近年、急速に進歩するゲノム研究は、病気のメカニズム解明や治療・予防法開発に大きく貢献しています。遺伝子情報に基づいた医療、いわゆるゲノム医療は、私たちの生活を大きく変えようとしています。一方で、遺伝情報を知ることで、新たな悩みや不安が生じることも事実です。この状況を踏まえ、都民講座「遺伝子が教えてくれること - ゲノム医療と遺伝カウンセリング」を開催しました。講師には、遺伝カウンセラーの育成にも携わる静岡社会健康医学大学院大学の堀内泰江教授をお迎えしました。
堀内先生は、まず「遺伝の基礎」について解説いただき、私たちの体の様々な特徴が遺伝と深く関わっていることを理解しました。次に「病気と遺伝の関係」について、次世代シークエンサーによる遺伝子解析の進歩により、多くの病気の原因となる遺伝要因が明らかになり、ゲノム医療への移行が進んでいることを説明いただきました。特に遺伝性乳がん卵巣がん症候群を例に、遺伝子変異と病気の関係、そして最新の治療・予防法について詳しく解説されました。最後に「遺伝カウンセリング」についてお話いただきました。遺伝カウンセラーは、ゲノム医療に関する科学的根拠に基づく正確な情報を患者さんやご家族に分かりやすく伝え、理解を深めるサポート役として重要な役割を担っています。具体的な事例を交えながら、遺伝カウンセリングの重要性、どこで遺伝カウンセリングが受けられるのかなどを丁寧に説明いただきました。
ゲノム医療の急速な発展と、その医療にまつわる不安を少しでも軽減し、安心してゲノム医療を受けられるようにするためにも、遺伝カウンセリングが大切であることが理解できた有意義な都民講座であったと思います。
