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疾患研究を支える実験用マウスのゲノム多型情報とデータベース

演者 高田 豊行
理研BRC/統合情報開発室/開発研究員
会場 対面式(2階講堂)
日時 2025年3月5日(水曜日)16:00~17:30
世話人 吉川 欣亮
難聴プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

生物のゲノム情報は、生物多様性や進化の理解、さらには生命現象の解明にも重要である。実験動物として広く利用されるマウス(Mus musculus)は、数多くの近交系統が樹立され、疾患解析をはじめとする研究に利用されている。そのゲノムは主にユーラシアに分布する3つの主要な亜種に由来するモザイク型である。このため、系統間のゲノム構成の違いは、系統特異的な疾患感受性の理解に重要である。我々はこれまでに、汎用近交系統のゲノム構成に影響を与えたと考えられる野生由来近交系統のゲノムを解読し、4千万カ所以上の多型サイトを特定、それらの遺伝的特徴を比較検討した結果、実験系統のゲノム構成について興味ある知見を得た。また、これらのデータを整理・公開するため、データベース(MoG+;https://molossinus.brc.riken.jp/mogplus/) を構築し、公共の実験系統のゲノム多型情報とともに公開している。さらに最近では、ロングリード解析より得た構造多型(SV)情報を追加し、ユーザーインターフェースも改良した MoG+3.0 を公開した。MoG+3.0では、従来の手法では捉えにくかったSVの詳細な解析が可能となり、シス調節エレメント(CRE)領域における遺伝子発現制御メカニズムの解明に貢献することを目指している。これらのSV情報は、理研IMSのCREデータベース fanta.bio(https://fanta.bio) でも確認が可能になる予定である。また、DBCLSのTogoVar(https://grch38.togovar.org/) に登録されたヒトゲノム多型情報とオーソログ遺伝子の比較など、マウスをモデルとした疾患研究を一層促進するための環境を整備している。このように、MoG+の活用により、マウスのゲノム多型情報をもとにした生命科学研究が効果的に推進できると期待される。