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オレキシン神経の睡眠中の活動動態とその役割 ナルコレプシーのレム睡眠関連症状への関与

演者 伊藤 洋人
日本学術振興会/ 特別研究員(PD)
名古屋大学大学院医学系研究科 神経内科
自然科学研究機構 生理学研究所 多細胞回路動態
会場 ハイブリッド(2BC会議室)
日時 2024年12月11日(水曜日)15:30~
世話人 本多 真
睡眠プロジェクトリーダー
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

筆者はより詳細かつ正確な脳機能発現の理解が、神経精神疾患の克服や超早期介入による発症予防のために必要だと考え、ニューロサイエンスと病態をつなぐ研究に取り組んでいる。

近年、過眠症の1つであるナルコレプシー(1型)の原因がオレキシン神経の選択的消失であることが明らかになり、不眠症治療薬としてオレキシン受容体拮抗薬が臨床で広く使用されている。一方で、ナルコレプシーの過眠症状は、入眠時にすぐにレム睡眠に移行してしまうなど、レム睡眠関連症状によって特徴づけられる。しかし、「覚醒神経」とされるオレキシン神経の消失が、なぜこれらのレム睡眠関連症状を引き起こすのかは未だ明らかではなかった。

本セミナーでは、超小型顕微鏡による1細胞解像度での生体内脳深部の神経活動観察と光遺伝学による神経活動の操作技術を用いて、「覚醒神経」と考えられていたオレキシン神経が「睡眠中」にも特徴的な活動動態を示し、その睡眠中のオレキシン神経の活動がナルコレプシーのレム睡眠関連症状を抑制していることを明らかにした研究結果を紹介する (Ito H, et al. (2023). Proc Natl Acad Sci USA)。これらの知見に加え、筆者が取り組んでいる組織透明化技術により、全脳の神経細胞の活動を1細胞解像度で包括的に観察し、活動領域を網羅的にスクリーニングする技術・データについても紹介したい。