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母胎連関を司る分子基盤の解明

演者 三原田 賢一
熊本大学国際先端医学研究機構
特別招聘教授
会場 対面式
日時 2026年11月16日(月曜日)15:30~17:00
世話人 指田 吾郎
幹細胞制御プロジェクト
参加方法 詳細は事前に下記問合せ先までご連絡ください
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話 03-5316-3109

講演要旨

妊娠期における母体の重要性は説明の必要がないほど一般的な知識として共有されているが、その複雑さと倫理的課題から、母体と胎児との連関(母胎連関)を支える分子基盤に直接挑んだ研究は限られている。特に近年、妊娠期に胎児に起こる変化が成人期の健康にも影響を与える(DOHaD説)ことが明らかになりつつあり、母胎連関を分子生物学的に解明することが求められている。

我々はこれまでに、マウスを用いて母体の代謝変化がどのように胎仔の発生に影響が及ぶかを明らかにしてきた。特に、妊娠期に亢進することが知られている胆汁酸代謝に着目して研究を行っている。胆汁酸合成経路の重要な酵素の1つであるCyp27a1は、欠損させても胆汁酸合成が低下する以外の異常は観られない。ところが、ホモ欠損マウスの雌を妊娠させると、胎仔肝での造血幹細胞増幅が低下することがわかった(Sigurdsson et al., Cell Stem Cell, 2016)。これは母体由来胆汁酸が化学シャペロンとして造血幹細胞のタンパク質フォールディングを助けているためである。さらに、中間代謝産物であるオキシステロールが蓄積し、胎仔肺のリボソームアセンブリを阻害することでサーファクタントタンパク質が合成不良となり、出生する胎仔がすべて呼吸窮迫症候群で死亡することがわかった(Suzuki et al., bioRxiv, 2023)。これらに加え、最近我々は妊娠マウスが精神ストレスを受けると、出生数が減少し、生仔もADHD様の行動異常を起こすことを明らかにした(Antonius et al., in preparation)。

本講演では、これら母胎連関に関する研究成果について、未発表データを含めて紹介する。