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平成28年度 医学研セミナー

食物選択行動に関わる視床下部AMPキナーゼの調節作用

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演者 箕越靖彦
生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構 研究部門 教授
会場 東京都医学総合研究所 2階 講堂
日時 平成29年3月31日(金)16:00~17:00
世話人 岡戸 晴生 (脳発達・神経再生研究分野 神経細胞分化プロジェクトリーダー)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

AMPKは、細胞内のエネルギー飢餓を感知して代謝を調節しATPを回復させることから、”energy gauge”、または“metabolic sensor”と呼ばれている。AMPKは、抗糖尿病薬メトホルミン、脂肪細胞ホルモンレプチン、アディネクチンによる代謝調節作用に作用を及ぼすことから、とりわけ肥満、糖尿病の分野において研究が行われている。私共は、レプチンが、視床下部—交感神経系を介して、また骨格筋に直接作用を及ぼすことにより、骨格筋のAMPKを活性化して脂肪酸酸化を促進することを報告した(Nature 2002)。またレプチンが、視床下部AMPKを介して摂食を調節することを明らかにした(Nature 2004)。その後、摂食促進ニューロンとして代表的なニューロン、AgRP(Agouti-related peptide)ニューロンの活性化とシナプス可塑性の制御において、AMPKが必須であることも明らかとなった。しかし、視床下部AMPKによる摂食調節作用は、まだ解明すべき点が多い。例えば、脂肪酸合成酵素阻害剤であるC75を脳室内に投与すると、視床下部のAMPK活性が抑制され摂食はほぼ完全に抑制されて、マウスやラットなどの実験動物は餓死に至る。しかし、その作用は炭水化物食を与えた時にのみ起こり、高脂肪食では全く影響が無い。

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