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平成26年度 医学研セミナー

TRIOBPによるアクチン骨格形態制御と聴覚への関与

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演者 北尻 真一郎(京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学 助教)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成26年12月19日(金)16:00
世話人 吉川 欣亮 副参事研究員(哺乳類遺伝プロジェクト)
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

聴覚を受容する器官は内耳である。 音による物理的な空気の振動は内耳で電気信号に変換する細胞は有毛細胞と呼ばれ、その頂面には不動毛が存在する。 この不動毛が振動するとチャネルが開き、有毛細胞が脱分極すると考えられている。 音の周波数(音の高さ)や振幅(音の強さ)情報を含めて、しかもミリ秒単位での時間的変化に対応して感知するためには、内耳組織、有毛細胞、不動毛の物理的形態が厳密に制御される必要があり、その破綻はヒトおよび実験動物ともに難聴という表現形を示す。

不動毛を構成する細胞骨格はアクチン繊維の束であり、その意味で不動毛は、上皮細胞の微絨毛や培養細胞のフィロポディアと相同性が高いが、アクチン繊維の束が細胞質へ長く根のように伸びているという特徴を持つ。 この根に特異的に局在する分子はこれまで知られておらず、ゆえに根の機能は解明されてこなかった。

われわれはヒト難聴家系からTRIOBP遺伝子変異を同定し、TRIOBP蛋白は内耳不動毛の根に局在すること、TRIOBPをノックアウト(KO)すると不動毛の根が形成されなくなる事を発見した。 TRIOBP KOマウスの根なし不動毛は剛性が下がり、音振動で変成した。 またTRIOBP-4蛋白を精製してアクチンと反応させると、アクチンを束化した。 これらのデータは、TRIOBPがアクチンを束化することで不動毛の根を形成すること、根は不動毛の剛性や構造を保つために必須であることを示している。

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