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演者 | 中田 慎一郎 大阪大学 医学研究科 教授 |
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会場 | ハイブリッド(講堂+Zoom) |
日時 | 2024年2月15日(木曜日)16:00~ |
世話人 | 笹沼 博之 ゲノム動態プロジェクト 副参事研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
遺伝子産物の欠損病としての遺伝性疾患の治療法として、ゲノム編集技術の応用が期待されています。CRISPR/Cas9により標的遺伝子変異の近傍に施されたDNA二本鎖切断が、外来性DNAドナーとの間で相同組換え修復による修復を受ければ、標的遺伝子を意図した通りに書き換えることが可能です。
しかし、DNA二本鎖切断に起因する目的外変異がオンターゲットおよびオフターゲットで頻発すること、ドナーDNAやCas9発現ベクターといった外来性DNAがゲノムにランダムに組み込まれて変異を発生させることがわかっており、これらの問題の解決が臨床応用に向けた重要な課題となっています。
我々は、Cas9が持つ2つのヌクレアーゼドメインのうち1つを失活させたニッカーゼを用いること、外来性DNAドナーを用いず、ヘテロ接合性変異のうち健常配列を持つ相同染色体を内在性DNAドナーとすることで、DNA二本鎖切断に起因するゲノム変異と外来性DNAによるゲノム変異の両方を回避しようと考えました。様々な試行により開発したのが、2つの相同染色体に複数のニックを発生させ、相同染色体間の相同組換えを誘導してヘテロ接合性変異を野生型へ修正する手法「NICER法」です。また、ニックを用いて変異したアレルを特異的に破壊する手法「MILD法」も併せて開発しました。
講演ではNICER法やMILD法の実際、変異発生頻度、分子機構や疾患変異細胞での応用例についてご紹介いたします。