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演者 | 井上 昌俊 スタンフォード大学 ポストドクター |
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会場 | 2階BC会議室 |
日時 | 2023年8月8日(火曜日)15:00~ |
世話人 | 宮岡 佑一郎 再生医療プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
脳が感覚情報をどのように処理し、認知行動を制御するか、また精神疾患がこれらの過程においてどのように変容するかを理解するためには、異なる神経細胞種集団間の情報の流れをマッピングし制御することが必要不可欠である。しかし、その主な課題は、複数の神経細胞種の活動を同時に測定・操作する技術が未だ十分に確立されていないことである。
本講演では、この課題を解決するための多重光学遺伝学ツールを提示し、社会行動などの認知行動への応用を探る。まず、XCaMPsと呼ばれる次世代の多色カルシウムセンサーの開発により、生体内で初めて複数の細胞種の活動を同時に測定できるようになったことを解説する。さらに、測定中の神経活動を光学的に操作可能な赤色シフトした新規興奮性チャネルロドプシン、rsChRmineの特性とその利用法について触れる。さらに、rsChRmineと多色XCaMPセンサーを組み合わせ、神経細胞種集団間の情報入出力を解析する全光学的type-to-type法を開発した。この手法を使い、前頭前皮質の興奮性-抑制性神経回路間の情報伝達と、その回路の恒常性が正常な社会行動に果たす重要な役割を探究した成果について述べる。最後に、これらの知見に基づいて、社会行動の理解をさらに深化させるための次世代ツールついての将来展望をディスカッションする。