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演者 | 平岡 優一 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 先端分子医学研究部門 分子神経科学 助教 |
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会場 | ハイブリッド(講堂+Zoom) |
日時 | 2023年6月27日(火曜日)16:00~ |
世話人 | 篠崎 陽一 視覚病態プロジェクト/副参事研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
私達の体には数十兆以上の細胞が存在すると言われ、それぞれの器官や組織において求められる機能に応じた多種多様な細胞達が存在しています。中枢神経系においては神経細胞やグリア細胞が主な構成細胞とされ、それぞれ機能や発現する遺伝子の違いなどからさらに様々な亜集団に分かれることがわかっています。一方で、興奮性と抑制性や伝達物質の作動性などの機能的な意義がはっきりわかっていることの多い神経細胞に対して、グリア細胞の持つ多様性の意義やそのメカニズムについては未だに不明な点が多く残されています。我々はこのグリア細胞の多様性について、特に脳領域にまたがった差異に着目しその解明を試みています。古くは単なる糊(=”glue”)とみなされていたグリア細胞に対する研究ツールは神経細胞に対するそれと比べると大きく遅れを取っており、それがグリア研究推進の妨げになっています。そこで我々は新たな遺伝学的ツールを開発し、特定脳領域において任意の細胞種のみを標的に操作可能な実験系を作出しました。さらに脳領域にまたがった遺伝子発現パターンの違いがどのようにアストロサイト機能へ影響を及ぼしているのかを解明するために、特徴的な発現パターンを示すことが知られるグリア型グルタミン酸輸送体遺伝子の小脳アストロサイト特異的欠損マウスを作成しています。
本講演ではこれらのマウスを用いた研究結果の詳細を紹介するとともに、グリア細胞の不均一性とその意義についての議論を深めたいと考えています。