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演者 | 井上 清香 スタンフォード大学 ポストドクター |
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会場 | 2階BC会議室 |
日時 | 2023年8月8日(火曜日)16:00~ |
世話人 | 宮岡 佑一郎 再生医療プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
ヒトを含めた多くの生物種の雌は、性周期に伴い行動を変化させる。多くの脊椎動物の雌は、発情期という排卵前後のタイミングに雄のマウントを受け入れ性行動の頻度を増加することで、種の保存に必須である生殖の成功確率を高めている。雌マウスの発情期は、卵巣で産生されるエストロゲンやプロゲステロン等の性ホルモンの上昇により誘発される。ノックアウトマウスを用いた研究から、脳内に発現しているこれらの性ホルモン受容体が性行動に必要であると知られていた。しかしながら、性ホルモンが脳内のどの神経回路に作用し、性行動の頻度を増加するタイミングを決定するのか、その神経メカニズムは不明であった。我々のグループでは視床下部の神経回路に着目し、性ホルモンが特定の神経回路接続を増加させることで、発情期に性行動の頻度を増加することを明らかにした。また、シングルセルRNAシークエンシングを行うことで、性ホルモンにより発現調節を受ける遺伝子を同定し、雌の性行動を制御する神経細胞集団の分子的特性を明らかにした。本講演では、これらの研究成果とともに、雌性ホルモンによる行動調節メカニズム研究の将来展望についても紹介したい。