- この都医学研セミナーは終了しました。-
演者 | Moi Meng Ling 東京大学大学院医学系研究科 国際生物医科学講座 教授 |
---|---|
会場 | 対面式(2階BC会議室) |
日時 | 2023年12月18日(月曜日)14:30~ |
世話人 | 佐久間 啓 こどもの脳プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
蚊媒介性ウイルス感染症とは、フラビウイルスおよびアルファウイルス科に属するウイルスがヒトに対し病原性を有することが知られており、代表的なデングウイルスは、世界的に年間約4億人が発症しており、熱帯・亜熱帯地域においては公衆衛生上、深刻な問題となっている。近年、世界初となるデング熱ワクチンのPhase III臨床試験に用いられたデング熱ワクチン候補は、黄熱ウイルス17D株(ワクチン株)をベースとし、黄熱ウイルスのEタンパクをそれぞれの血清型デングウイルスのpreMおよびE遺伝子と置換した4価デングキメラワクチン(CYD)であった。しかし、本ワクチン接種時には、デング熱既感染者における重症化の予防効果が認められたものの、感染経歴のないワクチン接種者においては重症化リスクが高まるとの結果が明らかになった。本結果を受けたWHOは、デング熱のposition paperを発表し、デング熱ワクチンの接種時に、接種前の抗体スクリーニングを行い、デング熱ワクチン接種を既感染者にのみ実施することを推薦した。近年では、遺伝子組み換えワクチンおよびサブユニットワクチンなどが開発されており、その中では全長デングウイルスを採用した組み換えウイルスワクチン(QDENGA)が臨床試験においても有望であるが、長期にわたり4つの血清型に対し防御効果を確認することが重要である。さらに、ジカ熱およびチクングニヤ熱ワクチンは動物実験や前臨床試験において有望であることが確認された候補もあったが、流行が収まった近年では、市場化のための、より大規模かつ長期の試験実施が課題として残されている。本セミナーでは、デング熱、ジカ熱やチクングニヤ熱の流行状況、ワクチン開発の現状とワクチン実用化のための基礎研究について紹介する。