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演者 | 村松 慎一 自治医科大学 オープンイノベーションセンター 神経遺伝子治療部門 特命教授 |
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会場 | 対面式(2階講堂) |
日時 | 2024年2月27日(火曜日)16:00~ |
世話人 | 長谷川 成人 脳・神経科学研究分野長・認知症プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを応用した遺伝子治療が急速に発展している。脊髄性筋萎縮症、血友病、Duchenne型筋ジストロフィー症、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素欠損症、網膜色素変性症に対するAAVベクター製剤が薬事承認されている。私たちはパーキンソン病と弧発性筋萎縮性側索硬化症の治験を実施しており、グルコーストランスポーターI欠損症、Niemann-Pick病C型、GM2ガングリオシドーシス、脊髄小脳失調症1型の治験を予定している。また、AAV3の中和抗体への反応性を減弱したAAV.GT5を応用して、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症と血友病の治験を計画している。AAVは非病原性とされており、ベクターのゲノムはエピゾームに存在し染色体に組み込まれることがほとんどないため、安全性は高い。一方、高用量のAAVベクターを投与したX連鎖性ミオチュブラーミオパチーの治験で死亡例が発生し、留意すべき事象も報告されている。これらの有害事象を回避するため、新規AAVベクターの開発やGMPグレードのベクターを大量に製造する方法の開発も進んでいる。これまで治療が困難であった多くの疾患に対し、AAVベクターによる遺伝子治療は革新的な病態修飾治療となり得る。