- この都医学研セミナーは終了しました。-
演者 | 関 貴弘 姫路獨協大学 薬学部薬理学研究室 教授 |
---|---|
会場 | 対面式(2階BC会議室) |
日時 | 2023年10月6日(金曜日)15:00~ |
世話人 | 野中 隆 認知症プロジェクト 副参事研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
アルツハイマー病(AD)・パーキンソン病(PD)に代表される神経変性疾患は加齢とともに発症頻度が増大する疾患であり、超高齢化社会の現代ではその克服が喫緊の課題である。多くの神経変性疾患では神経細胞に特定のタンパク質が蓄積する封入体が観察される。これらの封入体は加齢に伴う神経細胞のタンパク質分解系の機能低下により異常タンパク質が蓄積したものであると想定されている。タンパク質分解系の一つであるオートファジー・リソソーム系タンパク質分解は、基質をリソソームに運搬する経路により、一般的にオートファジーと呼ばれるマクロオートファジー(MA)に加え、ミクロオートファジー(mA)、シャペロン介在性オートファジー(CMA)の3種類に分類される。2016年の大隅良典教授のノーベル医学生理学賞受賞の研究テーマとなったオートファジー(MA)の研究は世界中で盛んであるが、mA及びCMAに関する研究はあまり行われていない。その中で2004年にPDで蓄積するα-シヌクレインがCMAで分解することが報告され、その後PD発症にCMA活性低下が関与するという報告が相次いでなされた。その後、ADやハンチントン病など他の神経変性疾患とCMAの関連も報告され、神経変性疾患とCMAの関連が徐々に注目されつつある。私は簡便にCMA活性を評価する実験系を独自に開発し、神経変性疾患である脊髄小脳失調症(SCA)と筋委縮側索硬化症モデル細胞においてCMA活性が低下することを解明した。CMAは加齢とともに活性低下するため、神経変性疾患の新たな創薬標的としてCMAが注目を集めている。本セミナーでは神経変性疾患とCMAに関する研究について、私の主な研究対象であるSCAを中心に紹介する。