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演者 | 香月 康宏 鳥取大学 医学部 生命科学科 染色体医工学講座 教授 |
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会場 | 対面式(2階講堂) |
日時 | 2023年11月20日(月曜日)16:00~ |
世話人 | 丹野 秀崇 がん免疫プロジェクトリーダー |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
トランスジェニック技術は遺伝子を破壊または導入し、その表現型を解析することにより、これらの遺伝子がどのような機能を持つかを知る上で非常に重要な技術となっている。しかし、クローン化DNA断片を使用するこれまでのトランスジェニック技術では、1Mbを超える大きさを持つ遺伝子や遺伝子クラスターの導入は不可能であった。上述の課題を克服するために、我々は哺乳類細胞において自立複製・分配が可能なヒト人工染色体(HAC)およびマウス人工染色体(MAC)を構築し、Mb単位の巨大なヒト遺伝子クラスターのマウス・ラットへの導入、すなわちトランスクロモソミック(TC)マウス・ラットの作製に世界で初めて成功した。これまでにヒト薬物代謝酵素遺伝子クラスター(1.5Mb) 、ヒト抗体遺伝子群(3.5Mb)等を上記HAC/MACベクターに搭載することに成功している。
さらに、HAC/MACへ巨大遺伝子を搭載した、いわば「Designed Chromosome」をマウスやラットに導入することで「Designed Animal」を作製し、疾患モデルマウスの発症メカニズムの解明と治療研究、完全ヒト抗体産生動物による抗体医薬品シーズの作製等、に取り組んできた。さらに、「Designed Chromosome」を用いた「Designed Cell」による基礎研究から応用研究にも取り組んでいる。
本セミナーではヒト巨大遺伝子の機能解析、疾患モデルマウス・細胞による発症メカニズムの解明と治療研究、ヒト薬物代謝モデル動物や完全ヒト抗体産生動物による創薬研究への応用を中心に紹介し、最近取り組んでいるゲノム合成技術と人工染色体技術の融合による次世代染色体工学技術についても紹介したい。