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演者 | 粂 和彦 名古屋市立大学 薬学研究科 神経薬理学分野 教授 |
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会場 | ハイブリッド(講堂+Zoom) |
日時 | 2024年2月22日(木曜日)15:00~ |
世話人 | 宮川 卓 睡眠プロジェクト 副参事研究員 |
参加自由 | 詳細は下記問合せ先まで |
お問い合わせ |
研究推進課 普及広報係 電話 03-5316-3109 |
睡眠覚醒相遅延症候群(DSWPD)や非24時間睡眠覚醒リズム障害(non-24)を含 む概日リズム睡眠覚醒障害(CRSWD)は若年者によく見られ、内因性概日リズムが環境リズムとずれることにより生じるとされてきた。しかし、最近の知見で、CRSWD患者の一部は、正常なメラトニン分泌リズムを示すことが明らかとなった。つまり、これらの患者では、内分泌リズムを制御する内因性の概日リズムは正常であり、睡眠覚醒リズムが、概日リズムから脱同調している可能性が示された。また、脱同調している場合には、治療にメラトニンが奏功しない可能性が高い。そこで、このような患者の病態生理の理解を深め、治療法を探索するため に、我々は概日リズムと睡眠覚醒リズムが脱同調するようなCRSWDのモデルマウスを開発した。マウスに平型の回転輪を与えると、活動量が増えて、覚醒相と睡眠相の区別が明確になり、睡眠が単相性に近づく。さらに、低用量のメタンフェタミンを連続投与すると、通常は10時間程度の連続活動時間が延長して、14時間以上活発に覚醒するようになった。その結果、活動期である暗期(12時間)が終わり明期(12時間)に入っても活動が継続した。その後、11時間程度の睡眠相が出現すると、起床時刻が遅延して睡眠覚醒相後退障害様の行動を示した。また、明暗サイクル下にもかかわらず、フリーランに至る個体もあった。そこで、低用量のアリピプラゾールを睡眠相の初期に投与すると、睡眠相を前進させることができた。しかし、投与を中止すると、マウスは再度、後退した睡眠相に戻った。このモデルは、メラトニンリズムが正常なヒトのCRSWDのモデルとなる可能性があると考えられる。