52歳時のウェルビーイングが69歳時の認知機能に影響することを解明
東京都医学総合研究所のTopics(研究成果や受賞等)

HOMETopics 2019年

TOPICS 2019

2019年11月27日

心の健康プロジェクト 中西三春 主席研究員らは「中高年期の心理的ウェルビーイングが老年期の認知機能に与える影響:英国コホート調査の女性データを用いた観察研究」について、米国科学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」に発表しました。

52歳時のウェルビーイングが69歳時の認知機能に影響することを解明

心の健康プロジェクト 中西三春 主席研究員らは、1946全英国家出生コホート研究の女性のデータを用いて、52歳時の心理的ウェルビーイングが69歳時の認知機能に影響することを明らかにしました。心理的ウェルビーイングの中で「人格的成長」の度合いが高い女性は、69歳時の認知機能のレベルが高く保たれていました。一方で52歳時に「自己受容」の度合いが高いことは、69歳時の認知機能のレベルと負の関連を示しました。

英国医学誌ランセットの委員会が2017年に発表した報告書では、認知症の発症リスクを高める危険因子のうち、改善可能な9つの要因が指摘されています。本研究はこれら9つの要因に加えて、中高年期の心理的ウェルビーイングに着目することの意義を示唆しており、今後の認知症予防の戦略に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2019年11月26日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」72巻3号にオンライン掲載されました。

<論文名>
”Midlife Psychological Well-Being and its Impact on Cognitive Functioning Later in Life: An Observational Study Using a Female British Cohort.”
中高年期の心理的ウェルビーイングが老年期の認知機能に与える影響:英国コホート調査の女性データを用いた観察研究
<発表雑誌>
米国科学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」
DOI : 10.3233/JAD-190590
URL:http://dx.doi.org/10.3233/JAD-190590

研究の概要

世界的に人々はより長生きになり、多くの国で認知症は公衆衛生における優先課題と認識されるようになっています。2017年に英国医学誌ランセットで、認知症の広がりとそれによる医療介護サービスの課題に対応するべく、医学研究の膨大なエビデンスを集めた論文が発表されました。その論文によれば、認知症の人の35%は9つの制御可能なリスク要因に対処することで予防可能だとされています。しかしながら、中高年期の心理的ウェルビーイングが果たす役割はよくわかっていません。

著者らは、1946全英国家出生コホート研究の女性のデータを用いて、52歳時の心理的ウェルビーイングが69歳時の認知機能に影響することを明らかにしました。これまでの研究から、高齢者の「ネガティブ感情」、「ポジティブ感情」や「人生における目的」といったウェルビーイングの要素が認知機能と関連することが分かっていました。今回、著者らはコホート研究のデータを用いることで、52歳時の「人格的成長」の度合いが高い女性は、69歳時の認知機能のレベルが高く保たれていることを明らかにしました。一方で52歳時に「自己受容」の度合いが高いことは、69歳時の認知機能のレベルと負の関連と示しました。こうしたウェルビーイングと認知機能の関係は、幼少時の認知機能レベルや身体的活動、その他の上記リスク要因に該当する変数の影響を調整した後も残りました。

本成果はランセットの報告が示した9つのリスク要因に加えて、中高年期の心理的ウェルビーイングに着目することの意義を示唆しており、今後の認知症予防の戦略に貢献することが期待されます。


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