HOME広報活動刊行物 > Oct. 2015 No.019

開催報告

第2回 都医学研 都民講座(平成27年6月4日実施)

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

「マウスと日本人」

講師:東京都医学総合研究所 研究員米川 博通

米川 博通

今回は、「マウスと日本人」というタイトルの講演をさせていただきました。この講演のモチーフは、友人の城石博士らの「私たちが医学研究で用いている最も標準的な実験用マウス、C57BLのゲノムの中に江戸時代の愛玩用マウスの遺伝子が存在する」という発見でした。江戸のマウスの遺伝子が現在の実験用マウス中に脈々と流れている、これはマウスの研究者にとっては胸がわくわくする壮大なロマンです。このお話に、私が30年間携わってきた「実験用マウスの歴史と成り立ち」、そして「ヒトの随伴動物であるマウスから見た日本人の祖先」を加えた3つの話題を組み合わせたら面白いかなと考えたのです。講演で一番言いたかったことは、「江戸の遊び心が現在の実験用マウスの基礎を作った」ということでしたが、うまく聴衆の方々に伝わったでしょうか。

日本人は、マウスやラットを「鼠」という言葉で一括りにします。実験用マウスができる前は、鼠は憎むべき害獣でしかありませんでした。その一方、鼠は地名や色に沢山出てきますし、文学でも良く取り上げられています。「憎いけれども可愛い」というのが日本人の鼠に対する感情でしょう。この相反感情はどこから来るのか、これを考えていただくのも目的の一つでした。

医学研の都民講座はヒトの病気に関するテーマが多いのですが、今回はそれと少し違ったテーマにしてみました。内容を少し盛り込み過ぎてご理解いただいたかどうか若干心配でしたが、後にアンケートを読ませていただき、概ね好評だったのでほんの少し安心をしました。

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