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開催報告

平成28年度 都医学研夏のセミナー(通算 第42回)

「難病の地域ケア看護コース」(6/13〜17実施)

難病ケア看護プロジェクト 主席研究員 小倉 朗子

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難病の保健活動を推進するセミナー -難病でも、住み慣れた地域で安心して暮らしつづけられるために-

日本で難病対策が開始されたのは昭和47年(1972年)のことです。当研究チームは、その翌年に発足し、「対応困難な症状や障害への看護法に関する研究」や、難病をもつ方々が安心して生活できるための制度の在り方に関する「療養状況の評価調査」等の研究と、成果を普及するための本セミナーを実施してきました。平成27年(2015年)1月に、「難病の患者に対する医療等に関する法」が施行され、めざすところは「難病を持っていても、住み慣れた地域で、尊厳をもって、社会に参加しながら暮らすことができる」となっています。今年のセミナーは、「難病対策地域協議会」・「保健師だからできること」をキーワードに実施しました。「難病対策地域協議会」とは、課題を関係機関が共有し、解決に向けての取り組みを協議する、法に示された公的な会議です。これを保健活動のなかで充分活用していくことの大切さも学びました。北海道から沖縄まで、全49名の受講生と医学研の研究者とが仲間になりました。交流を継続し、難病保健活動を進めるためのスクラムを組んでいきます。また、医学研は、研究や情報ネットワークの拠点としての役割を拡大できるよう、活動を継続していきたいと思います。


臨床教育コース「神経病理ハンズオン」(7/25~28実施)

神経病理解析室 技術研究員 小島 利香

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今年も7月25日から4日間にわたって「神経病理ハンズオン」を開催しました。

基本は顕微鏡実習ですが、ホールスライドイメージを映すマルチモニターを用いて、観察のポイントをモニターで解説しながらの実習スタイルです。デジタル教材はデジタルパソロジーコーディネーターの植木さんと八木さんに作成して頂きました。

内部講師は、神経病理解析室の新井信隆・副所長が務め、関絵里香・主席技術研究員が「染色法とミクロ」、私(小島)が「デジタルパソロジー」というテーマで講義を行いました。

外部講師は、原田一樹先生(防衛医大法医学)に「頭部外傷」について、石澤圭介先生(埼玉医大病理)に「変性疾患」について毎年レクチャーをお願いしています。

実習中は、講義が終わった後も多くの受講生が残って熱心に顕微鏡を覗いている姿が印象的でした。実習後のアンケートでは沢山の症例を鏡顕できてとても勉強になったとのご意見が多く、受講者の方に有意義な4日間を提供できたことを大変嬉しく思います。


基礎· 技術コース「睡眠研究における実験解析技術の習得」(6/20〜23実施)

睡眠プロジェクト 主席研究員夏堀 晃世

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6月20日から4日間、睡眠研究に関する基礎技術を習得するためのセミナーを実施しました。本セミナーは睡眠科学を目指す学生・若手研究者を主な対象とし、実験動物の脳波測定・解析による睡眠覚醒判定の体系的な習得を主目的としています。

今年度の受講者は、学部生からPIまで幅広く定員6名が集まりました。脳波測定・解析手法を実際に研究室に取り入れたい希望者が多く、大学・研究所や企業からも応募がありました。受講者の細かなニーズに応えるため、今年度は実験動物をマウス・ラットのどちらかを選択できるようにし、動物ごとにグループ分けして実習を行いました。スタッフによるデモ実験の後、脳波電極製作・手術・解析の実習を複数日にわたって重点的に行い、参加者自身に一通り手順を体験してもらうことで、確実な技術習得を目指しました。

さらに今年度は、睡眠基礎研究の関連技術として、脳内伝達物質を測定するボルタンメトリーやマイクロダイアリシスのデモ実験・実習も合わせて行いました。タイトなスケジュールでしたが、受講者の皆様には満足頂けたのではないかと考えています。

今回のセミナーが、参加頂いた受講者の皆様の御活躍に役立てて頂けましたら幸甚です。


基礎· 技術コース「神経系への遺伝子導入」(8/1~5実施)

神経細胞分化プロジェクトリーダー 岡戸 晴生

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神経系に遺伝子を導入することは、神経系での遺伝子の働きや、細胞動態の解析に重要です。通常の培養株細胞に遺伝子を導入するのは比較的簡単ですが、神経細胞に導入するのは簡単ではありません。特に、生きた個体の脳の神経細胞となると、特別な方法が必要です。私たちは、その方法として、子宮内エレクトロポレーション法とウイルスベクター法を用いています。今回、この二つを中心に実習をしました。そのほか、それに関連して、マウス胎児の大脳皮質からの初代培養や簡単な遺伝子工学作業の実習を行いました。大学助教2名、大学院生1名、医学生1名、計4名が参加してくださり、皆さん熱心で、巧みな実験の工夫など驚くことが多いセミナーでした。

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