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開催報告

第2回 都医学研都民講座(平成28年6月9日実施)

「遺伝子と食のつくる脳」

神経細胞分化プロジェクト 研究員平井 志伸

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今回の都民講座は、環境要因によって遺伝的ハンデはどこまでカバーできるのかという総合的なテーマを持って発表を行いました。

トップバッターは神経細胞分化プロジェクト、リーダーの岡戸晴生先生。『遺伝子のつくる脳』というタイトルで、先生がライフワークにされている遺伝子”RP58”の話を皮切りに、脳が健全に発達し機能するようになるためには、様々な遺伝子が適切に働くことが重要であるということを、ご自身の研究成果を踏まえて、話されました。話の最後に、たとえ遺伝的にハンデを負っていても、ストレスの少ない生活、適度な運動等の環境を整えることで、脳の機能低下を抑えることが可能であることが実験的に分かりつつある、という話題を紹介して、次の演者にバトンタッチしました。

 

バトンを受けて、私は『食のつくる脳』と銘打って、”環境要因の中でも食事に注目し、その内容に気をつけることで、精神疾患の症状を和らげるだけでなく、その“発症“すら予防できてしまうことがある”という自身の研究内容を中心に講演いたしました。”菓子パンにジュース”でごはんを済まされている方は、1食だけでも日本食に変えてみてはいかがでしょうか?等の提案をさせていただきました。

最後に、臨床の場で実際に“食事”療法を用いて、特にてんかんの患者さんの治療に当たられている、滋賀県立小児保健医療センター小児科の熊田知浩先生のお話がありました。『ケトン食療法: 様々な神経疾患に対する食事療法』と題して、ケトン食によるてんかん治療の歴史から、自閉症の症状を食事で和らげる最新の医療現場のお話、日常的に患者さんが食べられているメニューの写真等を、クイズ形式も交えて楽しく紹介してくださいました。何度も会場の笑いを誘い、食後の眠気も吹き飛ぶ活気あふれる会にしてくださったように思います。

発表終了後の合同質問タイムには、日常生活に公演内容を具体的にどのように取り入れていけば良いかといった実践的なご質問など、様々なコメントをいただきました。今後の研究推進の励みにしたいと考えております。

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