講演1
講演2
会場

平成29年9月21日

平成29年度第4回都医学研都民講座を開催しました

会場:一橋講堂

9月21日(木)、当研究所では、一橋講堂において、「知っておけば大丈夫 インフルエンザの基礎知識と対応策」と題して、第4回都医学研都民講座を開催しました。

今回は有隣病院院長(前国立国際医療研究センター国際感染症センター センター長)の工藤宏一郎先生を講師にお迎えしました。工藤先生は、日本医療研究開発機構(AMED)の感染症研究国際展開戦略プログラムにおいて、プログラムオフィサー(PO)として活躍しています。

前半は、当研究所分子医療プロジェクトリーダーの芝崎太専門参事から、「どこまで知ってる?インフルエンザ」というテーマでお話ししました。最初に、基礎的な内容として、ウイルスの発見の歴史や特徴、例えば、細菌は自ら増殖することができるが、ウイルスは宿主に依存するといったことをお話ししました。加えて、インフルエンザの分類や、ウイルスが感染・増殖するメカニズム等についてもお話ししました。

後半は、工藤先生から、「ここまで知れば大丈夫!インフルエンザとパンデミック」というテーマでお話しいただきました。20世紀以降、4回パンデミックがありましたが、このうち、1918年のスペインかぜでは、世界で約4000万人、日本で約40万人が亡くなったのに対し、2009年の新型インフルエンザでは、世界で約20万人、日本で約200名と激減しました。この背景には、医学・医療の進歩に加え、時代的背景や患者受診行動等が関与していることが分かっています。ただし、新型インフルエンザは、季節性インフルエンザと異なり、いつどこで発生するか分からず、基礎免疫がなく、また、ワクチンもないことからパンデミックを引き起こしかねません。そのため、各個人が、新型インフルエンザが発生した場合に、パニックに陥らず、適正な情報収集を行い、接種可能になったらワクチンを接種することが必要です。また、急な発熱など、感染が疑われたら、迅速に医療機関へ行き、仕事や学校を休むといった他人にうつさない行動を取ることで、恐れられている高病原性インフルエンザにも十分に対処でき、想定死者数を大幅に減らすことが可能との内容でした。

アンケートでは、聴講者のみなさんから、「インフルエンザの歴史や新型インフルエンザと季節性インフルエンザの違いが理解でき、参考になった。」という御意見等をたくさん頂きました。

次回は、10月26日(木)に一橋講堂において、「認知症に向き合うために」と題して行います。


写真右:上から、工藤先生、芝崎専門参事、会場の様子

写真下:控え室にて

控え室にて
講演1
講演2
演奏

平成29年8月20日

サイエンスカフェin上北沢
「記憶とシナプス 記憶の仕組みを科学する」 を開催しました

会場:東京都医学総合研究所 講堂

8月20日(日)、当研究所の講堂において、「サイエンスカフェin上北沢『記憶とシナプス 記憶の仕組みを科学する』」を、当研究所のシナプス可塑性プロジェクトの山形要人研究員を話題提供者として開催しました。今回、33名の方が集い、和やかな雰囲気の中でシナプスの観察等を体験し、研究者と自由に語り合いました。

テーマであるシナプスは脳にありますが、脳は多数の神経細胞(ニューロン)からできていて、神経細胞はシナプスを介して信号を伝えています。すなわち、シナプスは神経細胞間で信号の受け渡しを行う場所のことですが、繰り返しの刺激によってダイナミックに変化し、記憶形成に関わっています。この神経細胞やシナプスを蛍光タンパク質で光らせ、蛍光顕微鏡を使って、参加者が実際に観察しました。また、マウスを用いた記憶実験映像の視聴や実体顕微鏡を使った脳切片の観察も行いました。

参加者の約半数が小学生や中学生でしたが、内容がやや難しいにもかかわらず、参加したみなさんからは、「シナプスや神経細胞を観察できて良かった。」、「マウスの実験がとても興味深かった。」、といった御意見を数多く頂きました。


写真右:上から、山形研究員、会場の様子、研究員による演奏

写真下:実験や観察に取り組む参加者の様子

参加者の様子
講演1
講演2
講演3

平成29年8月2日、3日

「都立高校生のための都医学研フォーラム」 を開催しました。

会場:東京都医学総合研究所 講堂

8月2日(水)、3日(木)の2日間、東京都教育庁の協力の下、当研究所において、「都立高校生のための都医学研フォーラム」 を開催しました。

このフォーラムは、医学・生物学研究に興味を持つ都立高校の生徒に、当研究所の研究成果を分かりやすく伝え、研究室等での実験や機器操作を実際に体験してもらうことによって研究への理解を深め、将来的には進路選択の一助となることを目的としています。今回は、都立高校17校から38名が参加しました。

午前は、当研究所学習記憶プロジェクトの上野耕平研究員から「記憶という謎への挑戦」というテーマで、最新の脳科学のテクニックを駆使した記憶研究の成果を中心に、現在の科学が記憶の仕組みをどこまで理解しているのかをお話ししました。また、講演の最後には、どのようにすれば記憶に残りやすいのかといった、高校生のみなさんにとって興味のある話題にも触れていただきました。次に、感染制御プロジェクトの安井文彦研究員から、「ウイルス感染症の制御を目指して」というテーマで、感染症研究の歴史から振り返り、かつて感染症は制圧できるとの認識があったものの、最近では新興感染症やバイオテロ対策として、感染症研究の必要性が高まっているとのお話をしました。また、インフルエンザ及び肝炎ウイルスに対する治療法の開発に向けた現在の研究の状況について紹介しました。

午後は、認知症プロジェクト研究室、哺乳類遺伝プロジェクト研究室、神経回路形成プロジェクト研究室及び神経病理解析室の4ヶ所の研究室をそれぞれ40分ずつ順番に見学して、脳神経疾患のデジタル画像や共焦点顕微鏡による観察等を体験してもらいました。

この後、講演をした研究者に対し、生徒からいくつもの興味や疑問に基づく質問が出され、大変活発な質疑応答が交わされました。


写真右:上から、上野研究員、安井研究員、講演会場

写真下:講演会の様子及び所内見学

講演の様子、所内見学
講演1
会場

平成29年5月17日

第16回都医学研国際シンポジウムを開催しました

会場:東京都医学総合研究所 講堂

5月17日(水)、当研究所は、第16回都医学研国際シンポジウムを開催しました。担当は、当研究所学習記憶プロジェクトリーダーの齊藤実参事研究員です。齊藤研究員は、脳がどのようにして必要な情報を記憶して保持し、必要に応じて読み出すのかを、記憶を担う神経回路と分子経路の働きから明らかにする研究を行っています。

今回のシンポジウムは、神経機能を調整する神経修飾因子に関するもので、その作用メカニズムや生理機能について、国内外の第一線で活躍されている研究者が集まりました。

ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンなどのモノアミンやアセチルコリン、インスリンなどは、高次機能から運動機能までの様々な脳機能を調節していると考えられています。モノアミンなど修飾因子の持つ神経調節機能は、霊長類から線虫までの幅広い動物種において共通する部分が多く、進化の過程でも重要な神経伝達物質であることが容易に想像できます。一方で高等動物では複数のモノアミンが同時に働くことで高等動物特有の複雑な行動が生まれ、その破綻は重篤な病気を起こします。機能の多様性ゆえに完全に理解するにはほど遠いのが現実です。このため、修飾因子の放出機構や、受容体分子機能、シナプスの機能変化、回路の変化、そして行動の変化、さらに病態に至るまで、様々な研究者が一同に会するこのようなシンポジウムの開催は、重要な意味を持つものであるといえます。

当研究所では、研究者や医療従事者等を対象に、最先端の研究領域や社会的注目度の高いトピックをテーマとした国際シンポジウムを今後も開催していく予定です。


写真右:上から、齊藤研究員、講演会場

写真下:参加研究者の皆さんと一緒に 全体写真

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