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開催報告

平成25年度 第7回都医学研 都民講座
コンドロイチン硫酸の謎 − 膝痛と神経再生 −

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

講師:東京都医学総合研究所 神経回路形成プロジェクトリーダー前田 信明
愛知医科大学医学部 教授武内 恒成

本年1月30日、最近サプリメントとして注目されているコンドロイチン硫酸をテーマに都民講座を開催いたしました。本講座では、まず前田が「コンドロイチン硫酸とは、どういうものか?」という演題で、コンドロイチン硫酸の構造、ヒアルロン酸やグルコサミンとコンドロイチン硫酸の関係等について、基礎的なお話をいたしました。また、コンドロイチン硫酸の膝痛緩和効果に関しては諸説あり、確固とした結論はまだ出ていないことをご説明しました。次に、武内先生には、コンドロイチン硫酸合成酵素の一つ、CSGalNAcT1(T1)に関する最新の研究成果を解説して頂きました。T1遺伝子を欠損したマウスにおいては、コンドロイチン硫酸の合成量が減少し、軟骨や骨の形成が異常になること、さらに、脊髄損傷部における軸索再生が著しく亢進していることが説明されました。

会場はほぼ満席となり、講演後の質疑応答では専門的なものを含む多くの質問が寄せられ、活発な議論が行われました。また、講演会終了後のアンケートには、「コンドロイチン硫酸が軟骨のみならず、全身で重要な役割を果たしていることがわかった」、「軸索再生への応用を期待している」などの感想が寄せられ、大変、有意義な講演会になったと考えております。

図

脳発達・神経再生研究分野 前田 信明

 
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