HOME広報活動刊行物 > April 2014 No.013

開催報告

平成25年度 第8回都医学研 都民講座
お酒と心の健康 − 依存のリスクに気をつけて −

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

講師:東京都医学総合研究所 依存性薬物プロジェクトリーダー池田 和隆

本講座では、アルコール依存のリスクを中心に、お酒と心の健康について解説しました。まず、お酒の功罪として、アルコールと健康リスクとの関係がJカーブと呼ばれ、少しのアルコールは健康リスクを低下させますが、アルコールの量が多くなれば健康を害することを紹介しました。つまり適量が大事なのですが、実はその適量が個々人でまちまちであり、その個人差には遺伝子配列が深く関わっています。次に、依存症について、アルコールに限らず、乱用されている薬物やギャンブル依存など物質によらない依存症も挙げ、依存症の範囲が広がりつつあることを説明しました。そして、アルコール依存を防ぐために、「お酒を飲み過ぎてしまう相手とは飲まない」などの11のコツを紹介するとともに、依存症の心配がある時は精神保健福祉センターの相談窓口へ連絡することが有効であることをお話ししました。最後に、研究所で進めてきた研究成果の一端でもある新しい依存治療薬の可能性について取り上げ、具体的には、G蛋白質活性化型内向き整流性カリウムチャネルを標的とした薬について、生体外実験、動物実験、臨床試験の結果を解説しました。

2013年12月にアルコール健康障害対策基本法が成立し、国、地方公共団体をはじめ国民全般でアルコールによる健康障害の軽減に取り組むことになりました。アルコール関連問題の研究が進み、飲酒に関する正しい知識を持つ人が増えて、楽しくお酒と付き合えるようになれば幸いです。

図

精神行動医学研究分野 池田和隆

 
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