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平成27年度 医学研セミナー

ショウジョウバエにおける直鎖型ユビキチン鎖形成とその役割

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演者 池田 史代(Institute of Molecular Biotechnology Group leader)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成28年2月10日(水) 16:00~17:30
世話人 田中 啓二 所長 
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

ユビキチンはタンパク質の翻訳後修飾に使われ、様々な生物学的機能を制御する。ユビキチンは、その内因性の7つのリジン基 (Lys)、もしくはメチオニン基 (Met 1)を介してポリマーを形成することができる。これまでに、我々の研究グループを含めたいくつかのグループより、Met 1を介したユビキチン鎖 (直鎖型ユビキチン鎖)が、獲得免疫系および自然免疫系シグナル経路、細胞死シグナル経路、マウスの発生に重要な役割を担っていることが明らかになっている。特に、最近、我々は直鎖型ユビキチン鎖に重要である因子Sharpinの皮膚炎症とアポトーシスにおける役割をSharpin欠失マウス (Cpdm)を用いて検証した (Kumari et al., eLife, 2014)。しかしながら、直鎖型ユビキチン鎖形成に必須であるHOIPリガーゼのノックアウトもしくは不活化型変異ノックインマウスは共に胎生致死であるため、マウスモデルを用いた直鎖型ユビキチン鎖の新たな生物学的機能解析は簡単ではない。

今回、我々はDrosophila HOIP (dHOIP)を同定し、CRISPR-Cas9システムを用いてdHOIP不活型ショウジョウバエモデルを確立した。dHOIP不活型ショウジョウバエにおいては、直鎖型ユビキチン鎖は検出されなかったことから、dHOIPが直鎖型ユビキチン鎖形成に必須であることが明らかになった。また、これらのショウジョウバエにおいては、マウスに比較すると異なる形質を示すことが明らかとなった。

本セミナーにおいては、ショウジョウバエにおける直鎖型ユビキチン鎖形成の役割を、マウスにおける役割と比較しながら考察したい。

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