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平成27年度 医学研セミナー

胸腺におけるTリンパ球のレパトア形成 − 正の選択に関する新知見 −

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演者 髙濵 洋介(徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター 教授)
会場 東京都医学総合研究所 2階講堂
日時 平成27年8月4日(火) 16:00 ~ 17:30
世話人 田中 啓二 所長 
参加自由 詳細は下記問合せ先まで
お問い合わせ 研究推進課 普及広報係
電話(03)5316-3109

講演要旨

免疫応答の司令塔として生体防御の中心的役割を担うTリンパ球は、造血幹細胞に由来し胸腺で産生される。胸腺におけるTリンパ球の産生過程には、生体にとって有用な抗原認識特異性をもつTリンパ球だけが成熟を許されるプロセス「レパトア形成」が内包されている。胸腺でのTリンパ球のレパトア形成は、「自己と非自己を識別し外来異物から自己生体を守る」という、私たち人間が地球上で健康に生きていくために根幹的な特質の確立に不可欠である。私たちの研究室では、胸腺の器官機能を特徴づける胸腺上皮細胞およびその亜集団である皮質上皮細胞と髄質上皮細胞の生成と性状、とりわけそれらのTリンパ球レパトア形成における役割の分子機構解明に取り組んできた。そのなかで、田中啓二博士らとの共同研究にて、胸腺皮質上皮細胞特異的に発現される胸腺プロテアソームがキラーT細胞の「正の選択」に必須であることを明らかにしてきている。最近、胸腺プロテアソーム依存性の正の選択には、生成するキラーT細胞の抗原応答性を至適化する作用があることを見出した。Tリンパ球の正の選択とは、予め自己に有用な認識特異性をもつTリンパ球を生存させる選別プロセスであるとの、従来の理解に見直しを迫る新知見であり興味深い。

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