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開催報告

第25回 サイエンスカフェ in 上北沢 (平成29年8月20日実施)
「記憶とシナプス ~記憶の仕組みを科学する~ 」

シナプス可塑性プロジェクトリーダー山形 要人

サイエンスカフェ in 上北沢「記憶とシナプス」

今回は夏休み期間中ということで、小学校高学年以上を対象に、脳の重要な働きの一つである「記憶」を取り上げました。最初の講演では、「記憶」の形成に関与する「海馬」やそれを構成する「神経細胞(ニューロン)」、ニューロン間で信号が伝達される「シナプス」について説明し、「記憶」が作られる時には「シナプス」が大きくなり、信号も伝わり易くなることを解説しました。また、新しい記憶(短期記憶)が古い記憶(長期記憶)へ変わるためには、「繰り返し」・「インパクト(印象)」・「メリハリ(重要性)」が大切であることを示しましたが、熱心にメモをとっている小学生も見られました。

後半は、日頃研究室で行われている実験を参加者にも体験していただきました。まず、マウスの海馬から培養したニューロンにEGFP(緑色蛍光蛋白)を発現させ、それを蛍光顕微鏡で観察すると言う実験です。手袋をしてピペットマンで液を吸い取り、封入剤を加えて観察という工程でした。小学生が多かったせいか、かなり苦戦していましたが、光るニューロンやシナプスが見えると参加者は喜々としていました。

他にも、マウスやマーモセット、ヒトの海馬を脳切片や模型で示し、マウスを用いた記憶実験の様子も動画で見ていただきました。実験に使っている装置も用意しましたが、「実際にネズミの実験を見たかった」 という声も聞かれました。

今回は、「面白そうだから」 「テーマに興味があったから」と言う理由で参加された方が多かったですが、ほぼ全員が「楽しかった」 「また参加したい」と言って帰っていかれました。中には「学校へ出張講座に来てほしい」「研究者になるためのトークライブをやってほしい」という意見もありました。都医学研で行われている研究の一端を知ってもらえ、開催してよかったと思います。最後に、事前の打ち合わせやリハーサル、参加者の対応にあたって頂いた佐野さんを始めとするスタッフの皆さん、素晴らしい演奏をして頂いた七田先生らに深謝致します。

サイエンスカフェ in 上北沢「記憶とシナプス」
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