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開催報告

第20回 都医学研国際シンポジウム(2019年7月30日開催)
“Principles of Neocortical Development and Evolution”

神経回路形成プロジェクトリーダー丸山 千秋


7月30日、盛夏の空の下、「Principles of Neocortical Development and Evolution(大脳新皮質の発達と進化の原理)」と題して、第20回都医学研国際シンポジウムを開催しました。今回は、当分野で世界的に有名な国内外の10名の研究者をお招きしました。シンポジウムは4つのセッションに分かれて進行しました。まず、「ニューロンとグリア細胞をつくりだすトリック」をテーマに、早稲田大学の花嶋かりな先生、ドイツドレスデン工科大学のFederico Calegari先生、慶応大学の仲嶋一範先生から、ニューロンとグリアの分化、移動方式についてご講演いただきました。第2セッションでは、「大脳皮質におけるサブプレートニューロンの知られざる機能」をテーマに、私が話し、次にイギリスオックスフォード大学のZoltan Molnar先生から、成体まで残るサブプレートニューロンの機能についてお話しいただきました。続く第3セッションでは、「適切な行動のための適切な神経回路形成」をテーマに、アメリカメリーランド大学のPatrick Kanold先生、東京大学の多賀厳太郎先生そして大阪大学の山本亘彦先生から、神経活動依存的な初期神経回路形成機構についてご講演いただきました。最後に、「進化的観点から見た大脳皮質の発生」をテーマに、オーストラリアクィーンズランド大学のLinda Richards先生、京都府立大学の野村真先生そしてスペインミゲル・エルナンデス大学のVictor Borrell先生から脳梁の発達進化、爬虫類脳発生における温度の影響、哺乳類大脳のしわができるメカニズムについてお話しいただきました。講演後は部屋を2BC会議室に移しポスターセッションを行い、13題のポスター発表について参加者が熱心に討論する活気溢れるセッションとなりました。参加者総数も80名ほどにのぼり、海外からの聴講者も来られました。脳については、その発生、発達の機序について未解明な部分が多く残されています。今回は脳発生と進化というテーマに絞って、脳の発達の基本的な仕組みに関する最先端の研究について講演し、議論していただきました。講演では時間が足りないほど沢山の質問も出て、脳の発生と進化について熱い議論を交わし、充実した一日となりました。最後に、本シンポジウムを盛会のうちに終わらせることができたのも、研究所始め新学術領域「脳構築における発生時計と場の連携」からのサポート、準備や当日の進行にご尽力いただきましたすべての方々のおかげと、この場を借りて御礼申し上げます。

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