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開催報告

夏のセミナー(難病の地域ケアコース) (2019年6月11日~14日開催)
全国の保健師のみなさんが参加されました!
― セミナーの開催報告 ―

難病ケア看護プロジェクト


「それまで楽しい家庭だったから、妻が病気になったことでその楽しい家庭を壊されたくなかった。」「病気になってもお母さんはお母さん。一緒にいるのが当たり前。一人だけ家にいなかったら寂しいでしょう。」。これはある難病患者Aさんのご主人と娘さんの言葉です。Aさんは、筋萎縮性側策硬化症(ALS)という難病により、ご自身の意思で手足を動かせないばかりか、話せない、自力では呼吸ができない、食べ物や水分が呑みこめないなど、たくさんの重い症状や障害を背負われましたが、人工呼吸器を着けて、訪問診療や訪問看護、訪問介護をうけて、“ご家族と共にご自宅での普通の生活”を営まれました。

私たちが生活するこの地域には、Aさんのように療養生活をなさる方がたくさんいらっしゃいます。

夏のセミナーの参加者は全国の“保健師”のみなさんですが、“保健師”は、難病など、様々な健康問題のある方々が安全にそして安心して地域で生活するための施策、制度、そしてそれらに基づくサービス、サービスを担う人材、サービスとサービスをつなぐしくみ、これらすべてを統合する「地域ケアシステム」づくりをしています。そして本セミナーは、当プロジェクトにおける「難病のケアシステムづくり」や難病保健活動に関する研究成果を普及する機会としており、また保健師のみなさんが把握している現状の課題や対策を共有する貴重な場ともなっています。

本年は全国の都道府県あるいは保健所を設置する市や特別区の“保健師”のみなさん64 名(公開セミナーは116名)がセミナーに参加されました。

 「地域ケアシステム」。これは、地域それぞれに異なっています。療養生活において多くの困難を経験する難病患者さんをどうしたら支えられるか、について、各地の保健師さんは日々奮闘していますが、セミナーはその取り組みをささえるために役立つことをめざしています。

セミナーでは難病についての国のあらたな施策や「難病患者さんの生活実態調査」結果を聞き、保健師として、どのように地域ケアシステムづくりをすすめるか。について考えたり、また「災害」をテーマとして、被災地での経験を知り、難病患者さんの災害への備えについて考えたり、また保健活動の方法や方策について学び、交流も深めました。

セミナーをつうじて集まった取組みや学び、また創られた仲間のネットワークは、参加した各保健師のみなさんの力となり、全国の患者さんやご家族を支える大きな力となって各地に届くことと思います。

セミナーにご参加のみなさま、そしてセミナーの実施にご協力くださった講師の先生方、すべてのみなさまに心より感謝申し上げます。

文:主席研究員 小倉朗子

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