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開催報告

第2回 都医学研 都民講座 (2020年10月1日開催)
パーキンソン病を理解しよう:基礎研究と臨床研究から得られた最新の知見

ユビキチンプロジェクトリーダー松田 憲之

パーキンソン病は、脳の黒質と呼ばれる場所でドパミンを作っている神経細胞がダメージを受ける結果、手足が震える、動きがゆっくりになる、体が固くなる、転びやすい等の運動症状が出現する神経変性疾患です。今回は、順天堂大学医学部 神経学講座 准教授の波田野琢先生を講師にお迎えして、症状から治療まで包括的なお話をしていただきました。

まず、私が「遺伝性パーキンソン病の発症の鍵を握るミトコンドリア品質管理メカニズム」いう題で話をしました。パーキンソン病の発症理由は未だ解明されていませんが、ミトコンドリアの機能低下が発症に関わるという仮説があります。私は遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子産物のPINK1とParkinが連携して細胞から異常なミトコンドリアを除去すること、この仕組みが破綻すると遺伝性パーキンソン病が発症する可能性が高いことなどを紹介しました。

続いて、波田野先生から「パーキンソン病を理解する~症状から治療まで~」という題でお話をいただきました。パーキンソン病の非運動症状として便秘、睡眠障害、嗅覚障害があること、病態的な特徴としてアルファシヌクレインというタンパク質が蓄積すること、治療法の第一選択はドパミンを補うLドパ製剤であり、この他にも、ドパミンの受容体に作用するドパミンアゴニストや、デバイス補助療法としてのデュオドーパ、脳の視床下核に電極を刺して刺激する脳深部刺激療法があることなどを、分かりやすくお話しいただきました。

今回の都民講座は新型コロナのために急遽Zoomでのオンライン開催となってしまいましたが、最終的には質疑応答も含めて大きなハプニングがなく終了したことに安堵いたしました。

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