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開催報告

第34回 サイエンスカフェ in 上北沢(2020年8月22日開催)
早分かり 基礎から学ぶウイルス感染症

感染症の授業ももっとあってもいいのでは?

ウイルス感染プロジェクトリーダー 小池 智

「早分かり 基礎から学ぶウイルス感染症 PCR検査、抗原検査、抗体検査――何が違うの? 何がわかるの?」と題してウイルス学に関するご説明をさせていただきました。

現在の日本の教育課程の中でウイルス学をはじめとする感染症に関する教育は医学関係の専門教育を除いては皆無といっていいほどです。新型コロナウイルスの流行によってマスコミでも連日コロナ関係の報道がされていますが、私の友人(例えば中学の同級生など)からは解説を聞いてもよくわからないという声を耳にしました。確かに同業者である専門家は我々からするとすごく当然のことを説明していますが、一般の方にはわかりづらいことは確かです。元々ウイルス学、感染症学は生化学、細胞生物学、免疫学、疫学などを包含する学問で、トータルに理解するのは簡単ではありません。ことの重大さを強調した報道は単に不安をあおるように感じられることでしょう。そこで今回はコロナに特化した話ではなく、基礎的な用語を理解できるように基礎ウイルス学の講義をしたいと考えました。

中学生から高齢の方までご参加くださったこと、全く経験のないオンライン講義であることから、どのように説明していけばよいのか心配な点がありましたので、私の友人の素朴な疑問を念頭に置きながら構成を考えました。ウイルスの構造、複製の様式、宿主の免疫応答などを前半で解説し、後半では種々の検査の目的や実際について解説いたしました。また、広報担当者、前回のサイエンスカフェの講師である宮岡先生からのご助言もあり、「クイズ形式」や「挙手機能」による理解の確認などを行いながら進めることができました。途中で理解度を確認しながら説明できたので、何とか合格点だったのではないかと思います。

今回サイエンスカフェを担当し少しは貢献できたかも知れませんが、人数も少なく時間も限られています。今回のようなパンデミックがあってもドタバタしないためには中学生や高校生の授業でも感染症の教育はあった方がよいのでは?と強く思った次第です。

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