HOME広報活動刊行物 > Jul. 2014 No.014

開催報告

平成26年度 第1回都医学研 都民講座
子宮頸がんから身を守るために

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

講師:三重大学大学院 臨床医学系講座 産科産婦人科学 准教授田畑 務

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4月24日、三重大学大学院 産科婦人科学教室の田畑務准教授をお迎えし「子宮頸がんから身を守るために」というテーマで都民講座を開催致しました。

はじめに、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で発症すること、HPVは約80%の女性が一生に一度は感染するごくありふれたウイルスであること、とのお話がありました。HPV感染から子宮頸がん発症までは、軽度・中等度・高度の異形成という段階を経ますが、定期的に検診を受けていれば早期に発見が可能で、円錐切除術により子宮温存できる場合は後に妊娠・出産も夢ではないそうです。しかし残念ながら、わが国での子宮頸がん検診受診率は20%前後と低いため、田畑先生のグループでは受診率向上のための働きかけもされているとの事でした。

後半はHPVワクチンについてご説明いただきました。現在、日本では2種類のワクチンが認可されており、特に10代での接種が有効との研究結果があります。しかし副反応の報道や、厚生労働省による「積極的に接種の推奨はしない」との方針発表など混乱が続いています。その結果、最近では新たにHPVワクチンを接種する若い女性が激減しているとの事ですが、「接種せずに罹患する場合」と「接種後に副反応が起きる場合」を冷静に判断して欲しいとご説明下さいました。またHPVワクチンは子宮頸がんを完全に予防する訳ではないので、検診との併用が大切であることも強調されておられました。

時にユーモアを交えつつ、子宮頸がんとはどんな病気か、大変わかりやすく教えていただきました。その上で、治療の現状や問題点、予防のためのワクチンや検診の重要性についても丁寧に解説して下さいました。講演後のアンケートでは「内容がわかりやすかった」「ぜひ検診を受けようと思う」という声が多数寄せられ、非常に有意義な講演会となりました。

ゲノム医科学研究分野芝崎 太・遠藤 典子

 
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