HOME広報活動刊行物 > Jul. 2014 No.014

編集後記

編集後記

蘆花恒春園という公園が、世田谷区上北沢の住宅地にある研究所から、しばらく歩いたところにあります。明治の末に、徳冨蘆花が村住まいをするために、青山より移ってきた地だそうです。芦花公園という駅の名の由来にもなっています。蘆花の旧居や記念館があるだけでなく、彼本人とその妻も、ここに眠っています。折々の草花を、昼休みに楽しむことができますが、帰りは登り坂で、難儀します。

蘆花の随筆「みみずのたはこと」に、近在の村の百年前の生活が、詳しく書かれています。以下、転居前の下見に来た時の描写から

- 甲州街道に出た。あると云う馬車も来なかった。とある店で、妻は草履を買うて、靴をぬぎ、三里近い路をとぼとぼ歩いて、漸く電燈の明るい新宿へ来た。

いまの世田谷からは、およそ想像もつかないような田舎暮らしだったようです。

(Y.M.)

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