HOME広報活動刊行物 > April 2015 No.017

開催報告

第7回都民講座:「ゲノムの増えるしくみとその起源・進化」

東京医学総合研究所は都民の皆様向けに年8回ほど講演(都民講座)を行い、当研究所の研究成果の一端や関連する最新情報などを分かりやすくお伝えしています。

講師:東京都医学総合研究所 研究員正井 久雄

東京薬科大学生命科学部 教授山岸 明彦

正井 久雄
山岸 明彦

平成27年1月16日(金)に津田ホールにおいて平成26年度第7回都医学研都民講座が「ゲノムの増えるしくみとその起源・進化:生命の起源から地球外生命の可能性まで」というタイトルの元開催されました。前半では、正井がゲノムについての基本的な知識について説明し、細胞の増殖の中心的な役割をはたす「ゲノムの増えるしくみ」について、ヒトのゲノムを構成する30億塩基対のDNA情報を、細胞がどのようなしくみでほとんど間違いなくコピー(複製)するのかを、生物が有する驚くべきナノマシンと、複製開始のメカニズムとその進化について最新の情報も交えて紹介しました。

後半では、東京薬科大学の山岸明彦先生が、ゲノムの配列の比較からどのように生物の進化の謎を解き明かすかについて、山岸先生が長年研究を行っておられる超好熱性細菌を中心に説明し、さらに配列の比較から祖先の遺伝子を推定することができることを示されました。

さらに、山岸先生が最近行っておられる、地球外生命の探索に関して、飛行機や気球を用いた大気圏微生物の捕捉について話していただきました。40kmという高度の成層圏にも、微生物が存在すること、微生物が惑星間を移動できる可能性まであることに驚きました。最後に、火星探査と連動した火星における微生物の探索計画という大変夢のある計画についても話していただきました。火星に有機物が存在することは最近NASAの探索により示されていますので、近い将来このプロジェクトにより、火星から微生物が発見されるかもーとわくわくするようなお話でした。

講演後は多くの質問が寄せられ、特に地球外生命の探索については、多くの聴衆の方の興味を誘ったようで、皆さんが、地球から宇宙へと、ひとときの夢を馳せたように思いました。

認知症・高次脳機能研究分野 秋山 治彦

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