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April 2015 No.017
講師:脂質代謝プロジェクトリーダー村上 誠
平成27年2月9日に、生理活性脂質(脂質メディエーター)をテーマとした医学研国際シンポジウムを開催しました。本シンポジウムは、主催者がオーガナイズした脂質研究領域の国際学会「The 6th International Conference on Phospholipase A2 and Lipid Mediators (PLM2015):2月10-12日」のサテライトシンポジウムとしての位置付けとなります。PLM2015に招聘した30名の外国人招聘者の中から特に世界的に高名な12名を招き、これに2名の国内シンポジストを加えた合計14名の先生方から、当該研究領域におけるこれまでの研究動向と最新の研究成果についてご講演いただきました。
本国際シンポジウムは4つのセッションから構成されました。第1セッションは主催者のメイン研究テーマでもある「ホスホリパーゼA2」に関して、外国人招聘者3名の講演が行われました。ホスホリパーゼA2は膜リン脂質から脂質メディエーターの前駆体である脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する酵素群の総称で、まさに脂質メディエーター産生のボトルネックに相当する重要な酵素です。第2セッションは「リピドミクス」、すなわち質量分析による脂質の網羅的解析に関するもので、外国人招聘者3名に最新の解析技術とその応用について講演いただきました。昼食を挟んで行われた第3セッションでは脂肪酸由来の脂質メディエーターすなわち「エイコサノイド」に関して、続く第4セッションでは新しいタイプの脂質メディエーター「リゾリン脂質」に関して、それぞれ国内外から5名および3名の招聘者に講演いただきました。これらの脂質メディエーターについては、代謝酵素や受容体に関する数多くの情報が蓄積し、創薬標的として実際に臨床の場で用いられている薬物もあります。
当日の参加者数は149名にのぼり、このうち20名はPLM2015にも参加を予定している外国人でした。会場となった2階講堂は全員が座りきれない程の満席となり、シンポジウムの冒頭から終了まで活発な討論が行われ、大盛況のうちに幕を閉じました。第10回目となる記念すべきシンポジウムを主催させていただいたこと、研究所の方々をはじめ、参加者の皆様にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
認知症・高次脳機能研究分野 長谷川 成人
参加者集合写真